3月15日、国民生活センターは、ご飯の糖質を低減できると謳った「糖質カット炊飯器」の調査結果を公表し、「糖質の総量に大きな差はみられなかった」ことを明らかにした。
新型コロナウイルス感染拡大による健康志向の高まりを受け、この類の製品は人気となっているが、驚きの結果に怒りの声が相次いでいる。
「同センターによると、2017年度からの6年間で、糖質カット炊飯器に関する『使用しているが血糖値に変化がない』などの相談が250件寄せられていたことから、今回の調査を実施したといいます。調査したのは5銘柄で、すべての銘柄で通常炊飯よりもご飯が柔らかく、水分が約1~2割多い炊きあがりになったといい、その影響でご飯の重量が約1~3割重くなっていたものの、含まれる糖質の総量には大きな差はみられなかったとしています」(社会部記者)
なお、すべての銘柄で通常炊飯よりは糖質の割合は低かったものの、5銘柄中4銘柄で広告で謳っている糖質の低減率は満たしていなかったといい、景品表示法上問題となるおそれがあると説明。また、利用者には糖質カット炊飯器を使用しても通常炊飯と糖質の総量は大差ないため、食べるご飯の量に注意するように呼びかけている。
「これらの製品は、米を炊く過程で出た糖質を水分と一緒に排出することで糖質を低減させる効果があるなどとしていますが、結局は水分量が増えただけで同じ重量あたりの糖質の割合は低くなるものの、総量としてはほぼ変化がなかったわけです。しかも、5銘柄中4銘柄は広告で謳っているカット率には大きく及ばず、中には54%カットと表示ながら実際の低減率は10%だった製品もあったといいますから、利用者が怒るのも当然です」(フードジャーナリスト)
調査の対象となっていたアイリスオーヤマなどは国民生活センターの発表を受け、「あたかも当社製品においても広告などの表示よりも低減の割合が低いかのような報道がなされておりますが、そのような事実はございません」と同社の製品は広告の低減率を満たしていると説明しているが、ただ、多くの利用者は疑心暗鬼に陥っているようだ。
(小林洋三)