「トランプ暗殺計画」を米人気アニメが予見!「差し替え放送」と「フェイク画像」の波紋

 7月13日、ペンシルベニア州での選挙集会の演説中に銃撃され、あわや暗殺されかけたトランプ前大統領。全米を震撼させた衝撃的事件だが、直後にはこれを弄ぶような陰謀論や、根拠のない偽情報が飛び出している。

「衝撃的な事件や大災害が起こった際には、必ずと言っていいほど様々な陰謀論的な噂が飛び交うものですが、なかでも多いのが、事件や事故が事前に描かれていたという“予言”の類です。そして今回もまた、あの全米人気テレビシリーズに注目が集まりました」(米国のエンタメに詳しいジャーナリスト)

 その“人気テレビシリーズ”とは、放送開始から30年以上続く人気アニメ番組「ザ・シンプソンズ」のこと。事件直後に再放送する予定だったエピソードに、建物の上から集会のステージにライフルを向けるシーンがあり、影響を考慮してか急きょ別のエピソードに差し替えられたというのだ。

 同番組は、風刺的なユーモアと鋭い社会批評が特徴で、これまでにも米同時多発テロや、新型コロナウイルスの蔓延、エリザベス女王の死など、実際に起きた数々の歴史的出来事を予言、的中させてきたと言われている。

「物語は原作者であるマット・グレーニングの創作で、スプリングフィールドという架空の町に住むシンプソン一家(主人公ホーマー・シンプソン、妻マージ、子供バート、リサ、マギー)の日常を描いたもの。2000年、同シリーズでリサがトランプ氏から大統領の座を引き継ぐというシーンを描いたところ、2016年には本当に同氏が大統領に就任。さらにはロシアによるウクライナ侵攻のほか、、昨年6月に発生したタイタニック号探索ツアー潜水艇『タイタン』の事故も予見していたとして話題になりました」(同)

 この事故については、1998年に放送されたシーズン9・エピソード19の回で類似する内容が描かれている。

「父ホーマーとトレジャーハンターが乗った深海潜水艇が、巨大な沈没船から財宝をゲットしたあと、母船に戻ろうとする途中で珊瑚礁にぶつかって動けなくなってしまいます。酸素濃度がどんどん薄くなり絶望の中、数日後に昏睡状態から目が覚めるという内容で、潜水艇事故を25年前に予言していたとしてSNS上で大きな話題となりました」(同)

 今回のトランプ氏銃撃の際には、報道から1時間も経たぬうちにSNS上には棺に入れられたトランプ氏が描かれたスクリーンショットが出回り、「シンプソンズ」の一場面という説明が付けられていた。

「今回出回ったスクリーンショットは、2020年の大統領選直前、トランプ氏が新型コロナウイルスに感染した際にツイッターで拡散され、当時トレンド入りして話題になったものですが、実はシリーズでそんなシーンが放送されたことはなく、のちにファンが作成したフェイク画像であることが判明しています。今回、それが再び出回ることになったわけですが、アニメ制作側には取材が殺到。対応に追われるなど、とんだとばっちりを受けたとのこと」(同)

 非常時にはこの手のフェイクニュースが飛び交うのが付き物だが、選挙演説中の暗殺という暴挙を弄ぶような悪ふざけは、決して許されるものではない。

(灯倫太郎)

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