【中国】SNSでトランプ氏を英雄視する声が“削除されない”異例の事態

 トランプ前大統領の銃撃事件を受け7月14日、中国外務省の報道官は習近平国家主席が見舞いの意を伝えたと明らかにしていた。報道官は「中国側はトランプ前大統領が銃撃事件に遭遇したことに関心を払っている」と表明。これまで米大統領選については内政干渉にあたるとしてコメントしない立場をとってきた中国だが、国営テレビでも今回の狙撃事件を大々的に報道。銃撃事件が今後の大統領選に影響を与えることは必至、とも伝えており、事件への関心度の高さが窺える。中国ウオッチャーが語る。

「報道もさることながら、『微博(Weibo)』をはじめとしたSNSでは、銃撃事件発生直後から『トランプ銃撃事件』がトレンドワード・ランキングに入り、14日はほぼ1日トップから動かないという異常な現象が起きていました。しかもコメントの多くは、銃撃を受け顔から血を流しながらも拳を天に突き上げるトランプ氏の姿をアップし《感動した。これぞまさしく最強のリーダーだ!》《今年のピューリッツァー賞はこの写真で決まり!》といった称賛の声。本来であれば、反米の立場をとる中国で米国人を称賛するようなワードがそんなに長い時間、トレンド入りすることなどありえない。なぜなら、当局によって削除されてしまうからです。しかし、今回に限っては放置されたまま。つまり、これは当局がバイデン氏よりトランプ氏を米国の次期大統領として望んでいることの表れと考えられます」

 むろん、中国政府がなぜトランプ氏銃撃事件というワードを削除しなかったのか、本当の理由はわからないが、バイデン氏がクワッド(日米豪印)やオーカス(米英豪)といった対中包囲網で台湾の独立派を扇動し、中国との緊張関係を刺激していることは中国人なら誰もが知るところだ。そのため、中国におけるバイデン氏の嫌われ方は相当なものだという。

「一方、トランプ氏は関税引き上げなど、口では圧力をかけると脅しているが、ビジネスマンなので裏取引が可能であることも皆知っている。しかも、エリート層を持ち前のパワーで打ちのめしてきた強引さも中国人には人気がある。そんなことから、今回のトレンド入りも当局が見て見ぬふりをした可能性が高いと考えられます」(同)

 さらに驚くことには、中国のECサイトでは、銃撃事件直後から、トランプ氏が拳を振り上げ健在ぶりをアピールする同氏の姿をあしらったTシャツの販売が始まったというのである。

 14日、この情報を報じた仏国際放送局RFI(ラジオ・フランス・アンテルナショナル)の中国語版サイトによれば、取り扱う大手ECサービス「タオバオ」には、販売業者から「銃撃事件のニュースを見て、印刷を始める前にTシャツの注文を受け付け始めたが、3時間以内に中国と米国から2000枚以上の注文があった」との連絡が入ったとか。しかも、河北省にある工場で作られるTシャツは画像をダウンロードしてプリントするだけなので、制作時間はわずか1分。注文次第で生産量を拡大させるという。

 安倍晋三元首相銃撃事件の際も、山上徹也被告をプリントしたTシャツが販売され、当局が規制した中国だが、果たして今回は…。ともあれ、その商魂の逞しさには舌を巻くばかりだ。

(灯倫太郎)

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