【中国】習近平が虎視眈々…ロシア軍との合体で「北方領土要塞化」

 中国軍の軍備増強が続く中、ロシアの友好国ベラルーシに派遣された中国軍は7月上旬、ポーランド国境にある都市ブレストで、ベラルーシ軍と合同軍事演習を行った。射撃や人質解放を想定した訓練などが実施されたというが、ベラルーシは今月、中国やロシアが主導する上海協力機構に正式に加盟するなど、反欧米路線で中国にも接近する姿勢を見せている。両軍の合同軍事演習は、その一環でもあろう。

 中国は他国の問題には関与しないという内政不干渉の姿勢に撤している。しかし、欧米陣営との対立が不可逆的なものとなり、新たな国際秩序を強化するにあたって友好国からの要請があれば、軍を臨機応変に海外へ派遣することもあり得よう。ウクライナ戦争が長引けば、ロシア軍を後押しするため中国軍がウクライナ国境まで派遣される可能性も十分ある。

 だが、この件で日本が懸念すべきは両国の関係強化以上に、中国軍の海外派遣である。中国の海洋軍事戦略は、九州から沖縄、台湾に至る第一列島線までの海を中国の海と化し、伊豆諸島からサイパン・グアム、パプアニューギニアに至る第二列島線まで軍的影響力を拡大させることにあり、地理的にも日本は中国にとって大きな防波堤となる。よって、中国としては目的を達成するため、日本に対して軍事的な威嚇を長期的に続けることになり、そのオプションを多用に考えている。

 今後、欧米と中露の対立がいっそう激しくなっていくことは間違いなく、中国は日本を牽制する手段の1つとして、ロシア軍との関係強化だけでなく、極東シベリアにおける軍事的プレゼンスの強化、もっと言えば北方領土を軍事的要塞とするべく、中国軍が歯舞、色丹、国後などに常駐し、ロシア軍との一体化を進める可能性がある。米軍との直接的な衝突は避けたいものの、北方領土の第三国の駐留は日本を強く刺激することになるので、中国としては都合のいいオプションとなろう。

 一方、中国軍は尖閣諸島におけるパトロール活動にロシア軍を参加させる計画も練っている恐れがある。今日、尖閣では海上保安庁と中国海警局の巡視船が対峙しているが、緊張が走れば中国海軍がすぐに駆けつけることになっており、日本を牽制する狙いでロシア軍の巡視船が尖閣防衛に加わってくることが懸念される。

(北島豊)

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