佐藤治彦「儲かる“マネー”駆け込み寺」日本人の「平均寿命」が短くなっているワケとは

 昨年夏、厚生労働省から発表された「日本人の平均寿命」が話題になった。男が81.05歳、女が87.09歳と相変わらず長寿国の一つなのだが、2年連続で前年を下回ったからだ。

「日本人もますます西洋化し、魚や野菜でなく肉を食べるようになったからだ」という人もいれば「格差の広がりもあり、ファストフードやインスタントラーメンなど、ジャンク系の食事が増えたからでは」など、色々と論議された。

 しかし、ちょっと待ってもらいたい。もしも、この記事を読んでくれている人が70歳の男性だとして「俺の命も平均したら、あと11年とちょっとか。何が人生100年時代だ。80年じゃないか。俺の先も見えてきたな」なんて思うのはヤメてもらいたい。

 平均寿命というのは、あくまでも〈その年に生まれた人(0歳児)が何年生きることができるか〉というものだ。

 例えば今70歳の人は、70年間、生き抜いてきた人たちだ。しかし、残念なことに、皆さんの周りにも若くして病気や事故で亡くなった方もいるだろう。平均寿命というのは、そうした不幸に見舞われる人も含まれているわけだ。

 実はあまり知られていないが「平均余命」という数字がある。

 例えば「今70歳の人が平均してあと何年生きることができるか」というものだ。

 厚労省が発表した令和4年の簡易生命表によると、70歳の男は15.56年、女は19.89年。つまり、70歳まで生き抜いてきた男性は、平均して後15年と半年(85歳と半年)の人生が残っているわけで、平均寿命から4年以上、長く生きることになる。

 ちなみに、65歳の人の平均余命は男が19.44年、女が24.30年。75歳では男が12.04年、女が15.67年なので、75歳の男性の場合は、平均で87歳まで生きることになる。

 このように段々人生が長くなっていく感じで、もし80歳まで生き抜いた男性なら8.89年でほぼ89歳まで。女性は11.74年なので92歳の誕生日前ぐらいまで“平均して”生きるということなのだ。

 そうはいっても「生きていても体の自由がきかなくなったり、認知症が進んでしまうこともあるからなあ」と心配する人もいるだろう。

 そこで、おなじみになってきたのが「健康寿命」というやつだ。厚労省の定義では「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことをいう。

 ちょっと古い19年のデータでは、男は72.68歳、女が75.38歳。最初に紹介した平均寿命は2年連続で前年よりも短くなる一方で、健康寿命はジワリジワリと長くなっている。

 昔から「ピンピンコロリ」が理想だという人も多い。病気に苦しむことなく元気に長生きして、死ぬ時は苦労せずして旅立つというわけだ。

「人生100年時代」と言われるが、現実はまだちょっと先の話かもしれないし、平均なんてどうでもいいことでもある。まずは自分と家族、そして友人、知人の人生が幸せで長いことの方が大切だ。平均余命が延びたからといって自分の人生が長くなるわけでもない。健康で長生きするためには日頃から健康に気をつけ、病気などがあったとしても、人間ドックなどで早期に見つけて対処することが大切だ。

 いろんなことを心配して医療保険などに山ほど入る人がいるけど、困った時にお金が出るだけで、保険に入ったからといって健康になるわけでも、長生きができるわけでもない。まあ、そうはいっても、お金がないと色々困るけどね。

 7月に毎年の平均寿命などが公表される。日本人の人生は3年連続で短くなっているのだろうか?

佐藤治彦(さとう・はるひこ)経済評論家。テレビやラジオでコメンテーターとしても活躍中。新刊「つみたてよりも個別株! 新NISA この10銘柄を買いなさい!」(扶桑社)が発売中。

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