テレビ黄金時代「バカウケ視聴率王」BEST20(3)徳光和夫がピコピコハンマーで病院送りに

 4位は視聴率王にして芸能界のレジャー王・大橋巨泉がにらみを利かす。

「『11PM』(日本テレビ系)でギャンブル、ジャズ、ゴルフなど自分の趣味を全部テレビにした人。好きだったのは『ギミア・ぶれいく』(TBS系)の『笑ゥせぇるすまん』ですね。藤子不二雄Ⓐ先生のスタジオで巨泉さんとトークするんですけど、『怪物くん』を描いていたⒶ先生は意外にも遊び人だった、というところを引き出した」(タレント・徳光正行氏)

 5位は三波伸介が昭和の喜劇人の貫禄を見せる。

「『凸凹大学校』(東京12チャンネル)は文字通り学校の設定で『エスチャー』が1時間目の授業。好きだったのは授業の合間にある『にらめっこ』コーナー。いい大人たちが変顔で笑わせるだけなんだけど、シンプルで面白い」(67歳・溶接工)

 6位にはあのねのねが食い込んだ。

「原田伸郎さん(72)の京都弁のはんなりさがいいですね。『ヤンヤン歌うスタジオ』(テレビ東京系)は見てました。茅ヶ崎の自宅に来た数少ないタレント。他に来たのはダ・カーポ、ジャンボ鶴田、デストロイヤー、浅野ゆう子さん(63)だけです。当時両親の寝室は8畳の和室だったんですけど、夜に2人が来て『これから麻雀やるから』と母が追い出されて僕と一緒に寝たのを覚えてます」(タレント・徳光正行氏)

 7位、8位は徳光和夫(83)&福留功男(82)の日テレ先輩後輩アナがゴール。2人が共演した「アメリカ横断ウルトラクイズ」について、徳光氏が振り返る。

「福留さんがメインでよかったと思います。出場者にあだ名を付けるボス的な役割が受けた。オヤジは『ズームイン!!朝!』を休むわけにはいかなかったから、いつも羽田まで。殴られ役ですけど、僕は面白いと思ってました。もっと前はデストロイヤーの4の字固めで悶絶してたわけですから。それが徳光和夫です。でも母は反対していた。ピコピコハンマーとはいえ力任せで殴られるから頸椎やられて鍼治療に通ってましたよ」

 9位には、並み居る猛者を抑えて定年までNHKに勤めた鈴木健二がランクイン。

「紅白で引退する都はるみのアンコールを促す際に出た『私に1分間時間をください』は流行語に。でも引退する都はるみより司会が目立ってどうするんだ、という声も多かった」(57歳・学校用務員)

 10位には大穴・ジェリー藤尾が滑り込んだ。

「『笑って!笑って!!60分』(TBS系)のオープニングは裸の子供が出てきて、その子の母親がどんどん服を着せていく。制限時間内に着せた服は全部持って帰っていいルールで、子供が泣き叫ぼうとも何枚も重ね着させる鬼親が見どころでした」(70歳・船頭)

 目をつぶればふつふつと思い起こされる名物シーンの数々‥‥。懐古趣味と言うなかれ! 果たして、令和のテレビ番組が語り継がれる日は来るのだろうか。

■視聴率王TOP20

1位:萩本欽一(557票)「24時間テレビ」の出演ギャラ、最初に提示された額を「安すぎ」と拒否。どんどん釣り上げて局側が「これ以上ムリです」と言ったところで「全部寄付して」と引き受けた。「これ都市伝説じゃなくて実話です」(タレント・徳光正行氏)

2位:ザ・ドリフターズ(524票)いかりや長介より3つ年上の荒井注は74年に脱退。その後、天知茂の「江戸川乱歩の美女シリーズ」に出演するなど演技派の役者に転身。静岡・伊東でカラオケボックスの経営を目論むも機材がドアより大きくて断念

3位:ハナ肇とクレージーキャッツ(504票)60年代を代表する伝説のコミックバンド。70年代にドリフ全盛期になると、主要メンバーは俳優としてソロで活躍した。リーダーのハナ肇も「新春かくし芸大会」の銅像役の人としか認識していない層が増えていった

4位:大橋巨泉(473票)トレードマークの黒メガネは実はレンズなしだった。普段は近眼で眼鏡使用だが、テレビ出演ではコンタクトを着用し、わざわざ伊達メガネをかけるのが巨泉流。ライトに反射してレンズが光ることを気にしてのことだった

5位:三波伸介(419票)ハゲヅラにチョビ髭姿の三波が校長役を務めた「凸凹大学校」。人気コーナーはお題を絵とジェスチャーで表現する「エスチャー」で、ずうとるび・江藤博利が毎度爆笑を取っていた。82年、三波の急逝により番組は終了

6位:あのねのね(366票)フジテレビの「ものまね王座決定戦」の初代司会。が、真骨頂を見られたのは年1度程度、タレントがものまねをしない一般視聴者参加の「発表!日本ものまね大賞」。原田伸郎が天才的なシロウトいじりを発揮した

7位:徳光和夫(351票)「NTV紅白歌のベストテン」「ズームイン!!朝!」など日テレの看板番組の司会。78年から続く「24時間テレビ」には欠かせない顔。競馬&ボートレースに消えた金はナント10億円。水原一平級の筋金入りのギャンブラー

8位:福留功男(315票)「アメリカ横断ウルトラクイズ」の現地司会。その派生番組「全国高等学校クイズ選手権」ではプロデューサー的な立場で番組制作に携わった。アニメ「美味しんぼ」では中松警部の声を違和感なく演じる芸達者でもあった

9位:鈴木健二(296票)「歴史への招待」「クイズ面白ゼミナール」など博覧強記のよどみないしゃべりで〝NHKの視聴率男〟と呼ばれた。82年出版の著書「気くばりのすすめ」はミリオンセラーに。兄は映画監督の鈴木清順。今年3月に95歳で死去

10位:ジェリー藤尾(245票)戦後の歌舞伎町を拠点とした愚連隊の元用心棒で、武勇伝も数多いジェリーが妻・渡辺友子と共に、バラエティー番組「笑って!笑って!!60分」の司会という意外性! 小松政夫の「ズンズンズンズン~、小松の大親分」も流行った

11位:愛川欽也(241票)/12位:久米宏(237票)/13位:桂三枝(184票)/14位:笑福亭鶴瓶(172票)/15位:前田武彦(134票)/16位:伊東四朗(119票)/17位:小松政夫(103票)/18位:土居まさる(97票)/19位:せんだみつお(83票)/20位:高島忠夫(80票)

*週刊アサヒ芸能6月27日号掲載

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