徳光和夫「巨人再生のカギとなる3人の若手ピッチャー」

テリー 新庄のどこにいちばん興味があります?

徳光 かなり言ってることが核心ついてますよね。シーズンの初めは優勝なんて考えず、8月の下旬から9月あたりに優勝を狙える位置にいたら、そこから力を発揮できるチームにしたいと言ってるわけですよね。すごく理にかなってると思いますよ。正に去年のヤクルトがそうだったわけですから。

テリー 最初から優勝を目指している巨人は、いつも途中で息切れしますよね。

徳光 4月からずっと負けちゃいけないみたいな金属疲労が、8月の暑さの中で一気に出てくるんじゃないかと。それを毎年繰り返してますよね。

テリー で、新庄なんですけど。僕が注目してるのは、負けた時のコメントなんですよ。おそらく半分は負けるでしょうからね。

徳光 はぁ、おもしろい。これがテリーさんだね。

テリー 僕らもそうですけど、人生って半分は負けてますよ。その時にどう捉えるかだと思うんですね。だから、例えば何連敗もした時に選手や自分をどう鼓舞するのか、ファンにどんなメッセージを出すのか。特に今はコロナ禍で、いろいろネガティブに捉える人が多いから。僕はそこにいちばん興味ありますね。ミスターもそうだったと思うんですよ。

徳光 ミスターも負けた時のコメントがおもしろかったですもんね。

テリー で、今年の巨人はどうしたらいいですか。

徳光 いや、それは僕がテリーちゃんに聞きたいんだけれども。

テリー いやいや、お願いしますよ。

徳光 よくテリーちゃんが「スポーツ報知」のコラムに書いてるように、やっぱり後ろ向きにならないことだと思いますよ。僕も負けると愚痴っぽくなっちゃうけど、できるだけ抑えてね。

テリー ファンにできるのは、そのぐらいですかね。

徳光 でも、この間、桑田(真澄)さんにお目にかかったら、「医者で言えば、今年は診察だった。これから治療に入ります」って言ってたんですよ。そうすると、僕の中では治療すればおもしろいと思うピッチャーが3人いるんですよ。

テリー いいですね。教えてください。

徳光 まずは、こ1年を棒に振った東海大の山崎(やまさき)伊織。僕はよくブルペンキャッチャーの話を聞くんですけど、「右の投手で菅野以上のスライダーを投げるのは山崎だ」と評価してるんですよ。ブルペンキャッチャーの評価って割と当たりますから。これはちょっとおもしろそうだなと期待してますね。

テリー なるほど。

徳光 それから、2019年のドラフトで青森山田から入った堀田賢慎って選手がいるんですけど、これは〝流しのブルペンキャッチャー〟と呼ばれる安倍昌彦さんというジャーナリストがいて、一流高校球児のボールを全部受けて、それを文章にしてるんです。大谷翔平や藤浪晋太郎なんかもみんな受けていて。その人が「堀田は大谷、藤浪に勝るとも劣らぬものを持っている」と高校時代、最初に受けた時に感じたんですって。「堀田は大化けする可能性がある」と言ってましたね。

テリー 山崎と堀田。

徳光 最後は2021年のドラフトで獲った翁田大勢(おうたたいせい)。僕は桑田が初年度から2桁ピッチャーにするんじゃないかなと思うんですよ。

テリー 知ってます。ちょっと投げ方が変わった選手ですよね。

徳光 変わってますね。スリークオーターよりもちょっと下でね。斎藤雅樹みたいな感じで投げるんですけど。この選手は、僕は非常におもしろいと思いますね。

*(4)につづく

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