2023年9月の金正恩総書記による訪露以来、関係が蜜月とされるロシアと北朝鮮だが、6月4日、北朝鮮関連のニュースを専門とする「NKニュース」が気になる報道を流した。ロシア政府高官用の政府専用機が2日夜にモスクワを発ち、3日午前に北朝鮮の平壌国際空港に着陸したことが、衛星画像などの分析結果で明らかになったというのだ。そして10日のロシア紙「ベドモスチ」では、プーチン大統領が数週間以内に北朝鮮とベトナムを訪問する予定と報じている。
昨年の首脳会談では、正恩氏がプーチン氏に訪朝を促し、プーチン氏も同意したとされている。ただ、ロシア政府は具体的日程については一切公表していなかった。
「もし、プーチン氏による訪朝が実現すれば、2000年7月以来、実に24年ぶりのこと。2019年6月に中国の習近平主席が訪朝した際には、平壌市民25万人が出迎えましたが、実現すれば同レベルか、それ以上の歓迎となるでしょう」(北朝鮮に詳しいジャーナリスト)
プーチン氏がロシアの指導者として初めて訪朝したのは2000年7月だった。
「この時のプーチン氏と金正日総書記との会談で『ロ朝共同宣言』が公表されました。2001年にはモスクワで『ロ朝モスクワ宣言』にも両者は署名しています。しかし、2017年に国連の北朝鮮への制裁決議で、ロシアも制裁に賛成したことで両国の関係は冷却化することになります」(前出・ジャーナリスト)
冷え切っていたロシアと北朝鮮の関係が動きを見せたのが、ウクライナ戦争だった。軍事侵攻を強行するロシアに対し、2022年3月の国連総会ではロシアの即時撤退が決議されたが、日本を含め欧米141カ国が賛成する中、北朝鮮は反対に回った。このことが、昨年のプーチン・金正恩会談に繋がったと言われている。
「24年ぶりの訪朝の重要性は大きい。もしかしたら一気に『準軍事同盟』のようなものが締結される可能性も少なくありません。そうなれば、北朝鮮軍がウクライナ戦争に参戦するという最悪の事態もあり得るということです」(前出・ジャーナリスト)
より蜜月化するロシアと北朝鮮。両国による軍事的繋がりの行方が大いに気になるのだ。
(灯倫太郎)