「カニ代22万円」は止められない、自民党の“裏金維持法”に批判殺到

 政治資金パーティーの裏金問題を受けて、議論が行われてきた政治資金規正法の改正案が6月6日に衆議院を通過した。パーティー券の購入者の公開基準額が「5万円超」に引き下げられ、これまで使途非公開で運用されてきた「政策活動費」に関しては、「10年後に領収書を公開する」としているが、世間では「改正になってない」「裏金維持法では?」などと厳しい声が寄せられている。

 6月7日に放送された「報道1930」(BS-TBS)では、スタジオに自民党の政治刷新本部幹事・牧原秀樹衆院議員、立憲民主党・国対筆頭副委員長の山井和則衆院議員を招いて議論が行われた。山井氏は、政策活動費の「10年後ルール」について、「10年後に黒塗りの領収書が出てきてもね、『“10年前”に合意したあの人たち、国民に対して騙したの?』って言ったって、10年後、今の政治家、政党がきっちり残っているかどうかもわからない」として、「10年後(の公開)は大問題」と厳しく批判した。

 その後、スタジオで紹介されたのは現在、「党員資格停止」の状態にある高木毅前国対委員長の収支報告書(2022年度分)。支出の欄には「カニ代225,300」「商品券代300,000」と記載されており、フリップには、登録政治資金監査人の以下のようなコメントが掲載されていた。

「政治資金監査の点では改革とは言えない。妥当性のチェックはやっぱりできないまま“カニ代”とかそういうものが『政治活動だ』と言われればそれまで。支出も含めた妥当性をどのように図っていくのか今後残る課題になってくる」

 これに番組キャスターの松原耕二氏は、「国民感情としては、たとえば政治資金なら『カニ代22万円』と書けば許される。これいいの? これが政治活動ならチェックもできないじゃないかという、あるいは税金を控除する形でこんなことしていいの? 税金がらみのこと、ずいぶん民間とは違うなという怒りポイントだったと思うんですが」と疑問を呈すると、朝日新聞ゼネラルエディター補佐の林尚行氏は、「カニ代が政治活動に使われたのか。あるいは政治活動とはそもそもどういう活動を指すのか。といったものに基づいて、国会議員たちが自ら判断するんじゃなくて」と述べて、ある程度の強制力を持つ第三者機関の必要性を訴えていた。

 自民党の「安倍派5人衆」と呼ばれた元幹部である高木氏の「カニ代」がクローズアップされたことで、SNS上では《政治にはカニ代がかかるのか》《カニは食べたのか贈ったのか育てたのか》《10年後には1億円のカニ代が公開される》などと大盛り上がりとなった。

「高木衆院議員の政治資金収支報告書に記載された『カニ代22万円』は以前から問題視されていましたが、今回、番組で取り上げたことで、再び脚光を集める結果となりました。しかも、高木氏は2022年1月に22万5300円の“カニ代”を計上し、同年12月にも、22万6500円分のカニを購入した模様。1年で45万円以上のカニ代が政治活動の名目で使われていたとは、有権者をバカにしているとしか言いようがありません」(メディア誌ライター)

 政治資金規正法の改正案には、「カニ代禁止」の項目を盛り込むべきだったかもしれない。

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