スーパーからオレンジジュースが消えたとか、セブンもスタバもコーヒーの値上げ、といった話を聞いた方は多いだろう。食料品の値上げはこれだけにとどまらないが、オレンジジュースとコーヒーで共通するのが、ブラジルでの不作。そしてそのブラジルでの不作で、今度は鶏肉が値上がりするのでは、と言われている。
「日本の輸入鶏肉の約7割がブラジル産です。そしてブラジル南部では4月末から記録的な大雨で、死者149人も出るという記録的な水害に見舞われました。その影響で養鶏が打撃を受け、日本の鶏肉が値上がりするだろうと言われているのです。同時に耕作されている飼料にまで被害が及ぶので、影響は広がりを見せるかもしれません」(経済ジャーナリスト)
オレンジジュースは、果汁の輸入の約6割がブラジルからのもので、コーヒーは約3割。こちらは23年秋から24年春までの猛暑と旱魃によるものだったが、立て続けの自然災害による影響を受けての日本での値上げだ。
食料品の値上がりには、ウクライナとロシアの戦争での小麦不足や、中東の政情不安定で、紅海での船舶の航行が不可能になり物流が混乱、消費地の拡大など様々な理由があるが、産地での不作は代表的なものの一つ。そして気候変動が世界中で様々な災害をもたらしている現在では、気候変動が物価の値上がりにつながり、家計を直撃するという厄介な問題に直面せざるを得ない。
「今年3月に国際的な学術誌に発表された論文では、地球温暖化によってインフレがもたらされ、2035年には食料インフレ率が年間最大3.2ポイントになるとされています。中でも大きな影響を受けるのが、グローバルサウスの国々で、この地域からの食料輸入に大きく頼る日本は当然、インフレの影響をモロに受けることになります」(同)
気候変動が家計を直撃する。ぱっと見、直接にはつながらなさそうに思えるが、考えてみれば当たり前の話。気候変動の原因が地球温暖化ともなれば、一朝一夕で解決する問題ではなく、長く厄介な問題に日本人の家計は悩まされることになる。
(猫間滋)