テスラが売れない!トランプ氏と二人三脚のマスク氏に中国・欧州が大反発している

 関税による貿易戦争だけでなく、機嫌を損ねるとウクライナへの支援を停止し、返す刀でロシアにも制裁を科すなど、「トランプ・ストーム」が世界を嵐に巻き込んでいる。

 そして、そのトランプ大統領の脇に控え、まるで政商よろしく振舞っているのが、政府効率化省(DOGE)を率いるイーロン・マスク氏だ。ただ、このマスク氏にも嵐が吹いているという。

「マスク氏がCEOを務める『テスラ』が絶不調なんです。特に中国と欧州での不振が際立っていて、ロイターなどが伝えたところによれば、2月のテスラの中国工場での出荷台数が、前年同期比で49.2%も減少。また、欧州自動車工業協会の発表では、欧州で1月に登録されたテスラ車は、やはり前年同期比で45.2%縮小しているといいます」(経済ジャーナリスト)

 中国と欧州は、アメリカとマスク氏にとっては鬼門のようだ。中国はアメリカにとって覇権を争う敵であり、欧州では、マスク氏がドイツのショルツ首相をXで「無能なバカ」呼ばわりしたことから、他の国からも批判を浴びた。フランスのマクロン大統領やイギリスのスターマー首相も、マスク氏の発言に疑問を投げかけている。

「マスク離れ」はアメリカでも起きている。テスラ車のオーナーが、テスラ車に乗ってはいるが、「マスクは嫌いだ」とアピールするステッカーを自分の車に貼る、といった抗議行動が有名だが、ここにきて、オーナーだけの抗議に収まらなくなっているのだ。

「『テスラ・テイクダウン(テスラを叩き潰せ)』というサイトが立ち上がり、3月1日には全米50カ所のショールームでデモが行われました。デモはアメリカだけでなく、スペインのバルセロナ、イギリスのロンドン、ポルトガルのリスボンなどでも行われ、3月2日にはアメリカの7カ所の充電スタンドで火災が発生。これは放火によるものと見られています」(前出・ジャーナリスト)

 アメリカでの「マスク嫌い」の背景には、DOGEにおける大幅な政府縮小と人員削減への反発もあるといわれている。

 トランプ氏とマスク氏の「ダブルストーム」でますます大荒れとなるアメリカと世界。暴走とも呼ばれる2人の猛進はいつまで続くのか…。

(猫間滋)

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