巨人・戸郷翔征「ノーヒットノーラン」達成の裏にあった桑田真澄2軍監督の「1回15球」指導

 5月24日の阪神戦で、史上89人目のノーヒットノーランを達成した巨人の戸郷翔征。甲子園で行われた阪神戦で巨人の投手がノーヒットノーランを記録するのは1936年の沢村栄治以来で、なんと88年ぶりの快挙だった。

 試合終了後に戸郷は、「8回、抑えてできるかなと思った。やっと緊張感から解き離れた」と満面の笑み。阿部慎之助監督は、「ジャイアンツを引っ張っていく存在。すごいことだよ。泣きそうになった」と感激の表情で、杉内俊哉投手コーチも「5、6回ぐらいから(戸郷とは)目も合わせなかった」と安堵していた。

「戸郷といえば、あの独特な投球フォームが有名ですが、実は高校2年まではサイドスローだったんです。とにかく速いボールを投げたいと、そこから1年ほどで今の投げ方を編み出した。本人としてはスリークォーター投法という意識みたいです」(巨人番記者)

 2018年に巨人に入団した戸郷だが、ドラフト前にはセ・パ10球団から獲得の意思がある「調査書」が届いたものの、結果的に指名したのは巨人だけ。それも「6位」指名だった。

「他球団は『あの投げ方では故障する』という判断で指名を見送ったようです。このことを知った戸郷は『必ずこの投げ方でトップになる』と決意したといいます」(前出・記者)

 そんな戸郷の素質をいち早く見抜いていたのが、桑田真澄2軍監督だという。

「常に先発完投を意識して全力投球で投げ切っていた戸郷に、『1イニングを15球、9回を135球で投げ切れ』と指導していました」(前出・記者)

 ノーヒットノーラン達成時の投球数は123。師匠の言葉を忠実に守った末の大記録樹立だった。

(小田龍司)

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