維新政治の決算書となる一大イベントがいまいち盛り上がりに欠けている。来年4月の開催に向け官民一体になって機運醸成に励んでいるが、肝心の「未来社会の実験場」をコンセプトにした先端技術の博覧会はいわくつきのオンパレード。未来を託せそうもない万博会場のお寒い現状を緊急レポートする!
「万博を熱烈に歓迎するようなムードは大阪にありません。前回とはえらい違いですね」
こう嘆息するのは大阪市の市民団体「どないする大阪の未来ネット」運営委員の寺本勉氏だ。来年4月に開幕する「2025年国際博覧会」こと大阪・関西万博の開催機運が一向に高まらないのだ。
「月に1度、大阪の天神橋商店街で万博反対のビラ配りや署名活動をしているんですが、開催日が近づくごとに『何のために万博やんの?』という声が増えています。どうしても、官民連携の巨大イベントにダーティなイメージがチラつくのでしょう。東京五輪後に汚職事件で元理事やスポンサー企業の担当者が次々に逮捕されたのも記憶に新しい。昨秋に販売がスタートした前売り券が目標のわずか6%しか売れていないのもうなずけます。大人は1500円もお得やねんけどね」(寺本氏)
疑惑を招くのも無理はない。事実、万博にまつわる経費の細部はブラックボックス化。その象徴が約344億円を投じて建設中の「大屋根リング」だ。高さ12メートル、直径約615メートルの世界最大級の木造建築物にはボッタクリの疑いがかけられている。「これでもやるの?大阪カジノ万博 賭博はいらない!夢洲はあぶない!」(日本機関紙出版センター)を共同著書に持つ阪南大学の桜田照雄教授が喝破する。
「2万6000立米の木材を使用する集成材として、適切な立米単価が設定されているのか疑問です。主催の日本国際博覧会協会は公益社団法人で、経費にまつわる契約書などの開示義務がない。情報公開請求をしても損益計算書や賃借対照表を提示されるのみで細かな内訳は出てきません。複数の専門家に試算してもらっても『材料費で50億円、諸々合わせて200億円がええとこ』という返答でした。相場とかけ離れた金額になる理由は何なのか? 全契約書を公開して説明するべきです!」
どれだけ莫大な費用をかけても、いずれは解体される「仮設建築物」。閉会後に万博のレガシーとして、リユース・存置される計画だが、桜田教授は「負の遺産になりかねない」と指摘してこう続ける。
「そもそも雨ざらしに耐えられる素材ではありません。一部の施設は他の用途に転用しやすい部材を使用しているみたいですが、接合材が水に濡れることで溶けてしまうので存置するにも向いておらず、雨水で劣化した木材の用途は燃料くらいしかありません。わざわざ再加工するのに別途の費用がかさまないか心配です」(桜田教授)
誘致決定時に約1250億円だった会場建設費は約2350億円にまで膨れ上がっている。万博シンボルの処理費用が新たに予算に計上されなければいいが‥‥。
(つづく)