イスラエルが慄くイラン「革命防衛隊」の殺戮力(1)最高指導者直属「コッズ部隊」の仕事

 ハマスVSイスラエルの戦闘開始から6カ月余。再び〝中東の火薬庫〟が爆発寸前となっている。ミサイル、ドローン攻撃の小競り合いから一気にエスカレート、全面戦争となれば世界を巻き込む大惨事となることは避けられまい。最新情勢を専門家がレポートする。

 4月13〜14日、イラン革命防衛隊によるイスラエル国内への攻撃は300発以上のミサイル・ドローンによるもの。その99%は英米空軍、イスラエル防衛システムにより撃墜されたとされるが、これは4月1日のイスラエルによるシリアのイラン大使館攻撃への報復との見方が濃厚だ。

 直後、イランは革命防衛隊の幹部が殺害されたと発表しているが、正確にはニュアンスが異なるようで、イギリスBBCニュースによると犠牲になったのは、「精鋭コッズ部隊の上級司令官モハマド・レザ・ザヘディ准将」だという。日本人にとっては混乱する出来事だが、中東情勢に精通する軍事ジャーナリスト・黒井文太郎氏はこう分析する。

「革命防衛隊の元をたどれば、1979年のイスラム革命時、最高指導者だったホメイニ師の親衛隊として発足したもの。それがイラン・イラク戦争などを経て、国軍とは別個の存在となり軍勢化した。数は国軍より少ないのですが、(現最高指導者)ハメネイ師周辺の保守派に非常に近いということもあり、政治力・経済力共に大きい。その潤沢な経済力も相まって、核開発やミサイル開発などは国軍ではなく革命防衛隊マターになっています」

 となると、革命防衛隊がイランの最精鋭部隊ということになるが、コトはそう単純でもない。

「革命防衛隊が力を持っているのはイラン国内だけです。実際に海外の勢力に影響を及ぼしているのは〝コッズ部隊〟です。一応革命防衛隊の一部門という位置づけなのですが、実際はその指揮下にはありません。より正確に言えばハメネイ師直属の特務機関で、殺害されたザヘディ准将はコッズ部隊の幹部なのです。我々、ウオッチャーは革命防衛隊とコッズ部隊を一緒くたにすることには違和感を感じています」(黒井氏)

 表向きは革命防衛隊所属、その実態は最高指導者直属の特務機関‥‥わかりやすく言えばドラマ「VIVAN」(TBS系)の「別班」のような存在だろうか。

「コッズ部隊の主な任務は海外での工作。ヒズボラやハマス、パレスチナ民兵などの反イスラエル勢力をけしかけ、イスラエルへの攻撃を促す。未確認情報ですが、4月1日の大使館攻撃もコッズ部隊がパレスチナ民兵と接触した、という情報がもたらされた結果だったといわれている」(黒井氏)

 つまりは、イスラエルにすれば、コッズ部隊こそが脅威の元であり、それ故にリスクを冒してでも排除を試みたということになる。

(つづく)

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