イスラエルのイラン核施設攻撃で始まる「第5次中東戦争」悪魔のシナリオ

 イスラエルとイランの緊張が一段と高まっており、両国の間で戦争になるかもしれない。

 イランは4月14日、巡航ミサイルやドローンなど300発あまりをイスラエル領土に向けて発射。イスラエル当局は地上発射型の防空システム「アイアンドーム」などをフルに活用し、その多くをイスラエル領外で撃墜したが、ミサイル数発がイスラエル領内に落下し、子供1人が負傷。南部にあるイスラエル軍基地に軽微な被害があったと発表された。

 これについてイランは、一連の攻撃はイスラエル軍の基地を狙ったものとし、4月1日にシリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館が攻撃を受け、イラン革命防衛隊の司令官や軍事顧問などが犠牲になったことへの「報復」と主張した。

 現在、ボールはイスラエル側にあり、イスラエルがどのような形で報復に出るかで中東を巡る情勢は大きく左右されることになろう。イランも、イスラエルが報復に出ればさらなる攻撃に出ることを警告している。

 懸念されるのは、イスラエルがイランの核関連施設への攻撃に踏み切るシナリオだ。仮にイランの核関連施設に対する攻撃が加えられれば、イランもそれに応じてイスラエルの核を破壊するべく、大規模な空爆を行うことになる。しかし、イスラエルは同時にイランへの核攻撃を行う恐れがあり、そうなればイスラエルとイランの軍事的応酬は避けられず、第5次中東戦争に発展することになろう。

 また、イスラエル北部と国境を接するレバノン南部には親イランの武装勢力ヒズボラがイスラエル領内への攻撃を続けている。そのヒズボラによる攻撃もいっそうエスカレートし、シリアやイラク、イエメンを拠点とする親イラン勢力もイスラエルへの攻撃に拍車を掛け、他の中東諸国を巻き込む形で全面戦争に発展する。

 今日のイスラエルはすでに戦争状態にあり、イランの核施設を狙う可能性は排除できない。日本は石油の9割を中東に依存しており、第5次中東戦争の勃発は日本経済にも爆発的な悪影響をもたらすだろう。

(北島豊)

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