違法賭博をめぐる不正送金は6億8000万円どころではなかった。米司法省は4月11日、米大リーグ・ドジャースの大谷翔平選手の元通訳である水原一平氏が、大谷の預金口座から1600万ドル(約24億5000万円)以上を不正送金した銀行詐欺容疑で訴追したと発表した。
複数の米メディア報道によると、訴状では水原氏は2021年12月から24年1月までの間に約1万9000回の賭けを行ったという。1日あたり平均25回で、1回あたりに賭けた金額は10ドル(約1500円)から16万ドル(約2400万円)。賭博で勝った総額は約1億4200万ドル(約218億円)、負けた総額は約1億8000万ドル(約280億円)で、差し引くと日本円で約62億円という巨額の損失になる。
3月下旬、違法賭博の疑いが出た当初は「ギャンブルで借金をつくり、大谷の銀行口座から少なくとも450万ドル(約6億8000万円)が送金された」と報じられたが、その3倍以上の金額が不正送金されていた。
不正送金の金額、損失額の大きさにも驚かされるが、勝った金額も衝撃を与えた。水原氏はギャンブル依存症であることを告白し、米メディアの取材では「ギャンブルに1度も勝ったことがない。負債をカバーするためにより大きな金額をかけて、負け続けた」と語っていたが、約218億円は勝っていた。その勝った賞金は大谷の口座ではなく、水原氏自身の口座に振り込まれたことも報じられている。なぜ、ウソをついたのか。
「おそらく、勝った金額の振込先や使い道を聞かれることを避けたかったからでしょう。大谷の口座から不正送金しておきながら、勝った分は自分の口座に入金していることがバレたら、それこそ致命傷です。それと、そもそも一度も勝ったことがない人間がギャンブル依存症になることは考えづらい。勝った味を知らなければまずハマりませんからね。トータルでは大幅なマイナスですが、200億円以上も勝った経験があったからこそ、依存症になったのでしょう」(スポーツ紙記者)
ウソつきは泥棒の始まりというが、泥棒するとウソもつかざるを得なくなる。
(石田英明)