トランプ再選でウクライナ窮地の先に待つ「欧州とロシア軍事衝突」最悪シナリオ

 今日のウクライナでの戦況は、圧倒的にロシア優勢となっている。3月の選挙で5選を果たしたロシアのプーチン大統領は今後攻勢を強めていくつもりで、最近は15万人を動員する大統領令に署名。ゼレンスキー政権の崩壊、ウクライナの属国化を目指していくことになる。

 一方、ゼレンスキー大統領やウクライナ政府高官からは、「西側諸国からの軍事援助が途絶えることになれば我々は戦争に負ける」と危機感溢れる発言が相次いでおり、今後、ロシアがさらに攻勢を強化すれば、ウクライナ軍はすぐにその脆弱性を露呈するだろう。

 こういった状況でウクライナが最も恐れているのが、米トランプ政権の再来だ。バイデン大統領はウクライナへの軍事支援を継続する姿勢だが、トランプ氏はウクライナ戦争を24時間以内に終わらせる、最優先でウクライナへの支援を停止すると主張。秋の大統領選挙で勝利すれば、来年1月以降、ウクライナは窮地に追いやられることになり、米大統領選はウクライナの運命を掛けた分岐点とも言えよう。

 では、再選した場合にトランプ氏はどんな行動に打って出るのか。一つ考えられるのが、停戦だ。トランプ氏自身はノーベル平和賞を狙っているとも囁かれるが、ロシアに対しては攻撃を停止し、ウクライナに対しては停戦に応じないと本当に支援を打ち切るなどと圧力をかけ、自らがウクライナ戦争を解決したと豪語するシナリオである。

 だが、これまでにロシア軍が占領したウクライナ領土はそのまま既成事実化させることになり、ウクライナにとっては強制的停戦以外の何ものでもない。トランプ氏が考えるウクライナ和平が達成されれば、トランプ氏は“もう終わった問題”として関心を示さなくなり、ロシアは一定の時間が過ぎれば再び攻撃を再開することは想像に難くない。

 このような状況になれば、欧州諸国はロシアへの警戒をいっそう強めることになる。プーチン大統領は侵攻するのはウクライナだけとは言っておらず、将来的には欧州とロシアの間で軍事衝突に発展する恐れもあろう。

(北島豊)

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