動画配信サービス「Disney+」が、6月から本格的なパスワード共有対策に乗り出すことがウォルト・ディズニーのボブ・アイガーCEOのインタビューによって明らかとなった。
「アイガー氏は米CNBCのインタビューで、これまでもパスワードの共有は禁止してきたものの、一部の国で6月から初めて本格的な取り締まりを行うと説明。9月には全世界に範囲を拡大させる考えがあることを明らかにしました。具体的な方法に関しては明かされていませんが、『Netflixはストリーミングのゴールドスタンダード』と語っていることから、IPアドレスやデバイスIDなどで同一世帯に住んでいるかを判断してパスワードを共有しているか判断するのではないかとみられています」(ITジャーナリスト)
動画配信サービスでは、友人同士などでアカウントを作成して複数人でパスワードを共有する「タダ乗り」が長年問題となっており、会員数の伸びが鈍化している大きな原因のひとつに挙げられる。この対策にいち早く乗り出したのがNetflixで、昨年7月には全世界でアカウント共有を取り締まったところ、2023年10~12月の会員数が1310万人増加し、過去最多となる2億6000万人を突破している。
「Disney+も22年12月末をピークに会員数が減少しているので、パスワード共有対策で新規会員を増やしたいところですが、そう単純な話ではない。同サービスが苦戦している原因には、“ディズニー離れ”が進んでいることも原因の一つと考えられています。ディズニー作品は世界中で愛されているものの、19年に公開された『アナと雪の女王2』以降、かれこれ5年近くヒット作に恵まれていないのです。理由にはポリコレに偏りすぎていたことや映画チームの人手不足などがその原因ともされていますが、作品に魅力を感じなくなったファンも少なくない。そんな中、友達同士でお金を折半してDisney+に加入していたユーザーは、6月からの取り締まりを受けてむしろ会員を辞めてしまうかもしれません」(同)
Disney+の契約者の多くはディズニー作品目当てで加入しているユーザーも多く、新作の大ヒットが出ない現状では見切りをつけられても仕方ないのかもしれない。
(小林洋三)