【実録不倫裁判】川崎のクラブ嬢が“独身偽装男”を家族の前で刺した理由

「不倫は許せないこと。私は汚れてしまった。汚れを消せると思って彼を傷つけてしまいました」

 3月某日、東京地方裁判所。小さな肩を震わせていたのは、被告のA子さん。罪状は傷害。とある音楽イベントに家族とともに観覧に訪れていた既婚者男性Bさんの背後に近づき、果物ナイフを突き立てて、全治2週間のケガを負わせたというもの。A子さんと被害者のBさんは、いわゆる「不倫関係」にあったのだが、A子さんにはどうしても許せない事情があった。司法記者が解説する。

「2人が知り合ったのは、A子さんが務めていた神奈川県川崎市のクラブでした。そこに客としてやってきたBさんは自身を“独身”でなおかつ“性の経験ゼロ”とウソをついてアプローチ。その言葉を信じたA子さんがカラダを許してしまったのがコトの発端。実はBさん、既婚者で妻と子を持つ身。一方のA子さんは倫理観が強く、不倫に対してかなり強い嫌悪感を抱いていたのです」

 肉体関係を持ったとたん、距離を置き始めるBさんに、A子さんは不信の念を抱くようになる。「もしかしたら既婚者なのでは…」との疑いから、とあるツテを使って、Bさんが来場する音楽イベントの情報を入手。そこで家族と観覧するBさんを目撃し、彼が既婚者だと断定。背後から近づき、持参していた果物ナイフで刺したという。傷の深さは9センチに及んだ。Bさんが既婚者だと判明した時のことを、A子さんは「空間がゆがんだような」と、そのショックの大きさを説明していた。

 検察は、目の前でA子さんに懲役2年を求刑。裁判官から「何か言いたいことは?」と聞かれると、A子さんは「傍聴席に語りかけてもいいですか?」と前置きして涙ながらにこう述べた。

「もしも私の後ろに、(被害者男性の)奥様がいらっしゃったら…このたびは申し訳ありませんでした。ご結婚していたと知っていたらホテルには行きませんでした。(今後)絶対に奥様に危害を加えることはありません。どうか信じていただければと思います」

 前出の司法記者によれば、「傷害事件で被告が女性の場合、ほとんどが不倫がらみか、もしくはホストクラブ関連のものですね」とのこと。判決は3月某日に言い渡される。

(倉田はじめ)

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