ボクシングに精進料理、対話型アトラクションも…暗闇ビジネス最前線

「参加者が物語の世界へ没入体験するイマーシブ・シアターやVRを活用したアトラクションが全国的に人気を博しています。いずれも日常では味わえない感動や興奮が味わえるとあって、多くの家族連れやカップルでにぎわっていますが、そんな中で注目を集めているのが、真っ暗闇で他の参加者とのコミュニケーションを楽しむ対話型アトラクション。SNSでは、《暗闇を進んでいくイベントものすごく素晴らしかった》《スマホで疲れた目が癒された》などと称賛の声があふれています」

 エンタメ誌ライターが解説するのは、東京都内で開催されている「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」。公式サイトによれば、「純度100%の暗闇」を探検し、人との対話を楽しむ「ソーシャルエンターテイメント」だという。

「公式サイトの予約ページを見ると、平日の日中でも満席が目立ち、かなりの盛況ぶり。じつは7月26日にオンエアされた人気ラジオ番組『問わず語りの神田伯山』(TBSラジオ)で神田伯山さんが、『ダイアログ・イン・ザ・ダーク』の体験エピソードを語り、『極上のエンタメ』『五感が研ぎ澄まされる』と大絶賛。このラジオ効果も大きく影響していると思われます」(前出・エンタメ誌ライター)

 初対面の人たちとチームを組んで暗闇の中を進んでいく体験は、せわしない日常をリセットする効果があるということか。しかし、「暗闇」を題材にしたサービスは他にもあるようで…。

「もっともポピュラーなのは『暗闇レストラン』。今から20年前にオープンしたフランスの店では、まさに真っ暗闇の中で客がワインや食事を楽しむというコンセプトで『世界でもっとも独創的なレストラン10』に何度も選出されています。日本でも、薄暗いお寺の中でアイマスクをして精進料理を味わうイベントが大盛況。飲食だけでなく、フィットネス業界に目を向ければ、暗闇の中で周囲の目を気にすることなく、ボクシングやヨガ、バイクに打ち込むプログラムが人気を博しています。やはり、ふだんからスマホやパソコンで目を酷使している現代人にとって、視覚を遮断した暗闇はリフレッシュにつながるのでしょう。今後、暗闇ビジネスは他業界に波及しそうです」(前出・エンタメ誌ライター)

 2024年のトレンドは暗闇から生まれるかもしれない。

(倉田はじめ)

ビジネス