アップルが10年かけて「撤退」需要が鈍化するEVに未来はあるのか

 米アップルが長年取り組んできた電気自動車(EV)、通称アップルカーの開発を断念したと米ブルームバーグが報じた。自動車のスタンダードになると言われていたEVだが、アップルが離脱するほど未来はないというのか。

「ブルームバーグによると、2月27日にジェフ・ウィリアムズ最高執行責任者(COO)とケビン・リンチ技術担当副社長から、EV開発に携わるおよそ2000人の従業員にアップルカー開発中止が通達されたといいます。これでアップルは2014年から10年間、数十億ドルを投資したプロジェクトを断念することになる。なお、開発チームの多くは人工知能(AI)部門に移るとのことで、レイオフ(一時解雇)も実施される予定だそうですが、大部分は社内に残る見込みだといいます」(社会部記者)

 最近ではEVの需要も陰りを見せている。昨年10月にはフォードが予定していたEVへの投資120億ドル(約1兆8000億円)の延期を発表。ゼネラル・モーターズも生産目標を下方修正し、フォルクスワーゲンはドイツに建設予定だったEV用の工場を断念すると発表した。

「もちろん、EV需要の落ち込みもアップル撤退の一因ではあると思いますが、EVに未来がないと判断したわけではないと思われます。そもそもアップルカーはこれまでとはまったく違う業界への参入で、この10年間、ほぼ具体的な情報が出てこなかったことからも、成功に対して懐疑的な意見も少なくありませんでした。また、今年1月には完全自動運転の『レベル4』での開発を断念し、運転の主体はドライバーとなる『レベル2+』に引き下げたうえ、発売も2026年から28年に延期すると報じられていました。上層部から現時点で利益を出すのは難しいと判断されたのでしょう」(モータージャーナリスト)

 EVの需要鈍化については、高額であることや走行距離、充電インフラの不足など様々な原因があり、自動車メーカーは頭を悩ませている状況。普及はまだまだ先ということだろう。

(小林洋三)

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