アップル社の「ロゴ訴訟」が決着、微妙すぎる和解案に疑問の声が続々

 洋梨のロゴを使用する料理アプリの「Prepare」がAppleから「リンゴのロゴに酷似しておりブランドイメージを毀損する」と法的措置に踏み切ることを通告されていた問題で、「Prepare」側が洋梨のロゴを一部変更することで和解していたことが明らかとなった。一応の決着となったが、あまりにも不自然な手打ちにネット上では疑問の声があがっているという。

「昨年8月、『Prepare』を運営するSuper Healthy Kids社がインスタグラムにAppleから商標権の侵害で訴えられていることを明らかにし、即座に署名サイトChange.orgに、『Appleがロゴに対する訴訟を取り下げ、巨大テック企業がコロナ禍で苦しんでいる中小企業に圧力をかけることをやめさせる』署名活動を立ち上げたのです」(ネットライター)

 そもそも「Prepare」の洋梨ロゴは黄緑色のひょうたん型をしており、Appleのリンゴのロゴとは似ても似つかないものであり、Super Healthy Kids社の署名には1週間だけで5万人、計25万人以上の署名が集まっていたのだった。

「多くの人が注目していた訴訟問題でしたが、アメリカのニュースサイト『The Verge』によれば、『Prepare』のロゴの一部を変更することでAppleは使用を認めて和解したといいます。そのロゴの一部というのが、洋梨の葉の部分。一枚の葉っぱが半分のデザインに変えられただけだったのです」(ITジャーナリスト)

 これにネット上では、《Appleは洋梨の葉っぱが一枚か半分かを問題にして訴訟を起こしていたのか。なんとくだらない…》《両社のロゴは全然似ていなかったし、変更後のロゴも変更前のロゴと何ら変わりない》《Appleがただ嫌がらせしたようにしか思えないのだが…》など和解内容に疑問の声が相次いでいる。

「Appleはこれまでもドイツのカフェやポーランドの食料品販売サイトなどにも商標権の侵害で提訴していました。昨年には人気オンラインゲーム『フォートナイト』を手数料問題でストアから抹消したことが大きな問題になったこともあり、《Appleは大企業であることをいいことにやり方が傲慢だ》という批判が日に日に増している状況。今回、葉っぱのデザインを半分にしただけで使用を許可したのは、そうした背景もあると見られています」(前出・ITジャーナリスト)

 企業イメージを考慮すれば、Appleは訴訟を続けるだけ損だと判断したのかもしれない。

(小林洋三)

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