アップルの「チャットGPT」採用にイーロン・マスク氏ブチギレで「iPhoneでXが使えなくなる可能性」

 日本時間6月11日未明に開催された米アップルの開発者向けカンファレンス「WWDC 24」で、iPhoneなどの最新OSに「チャットGPT」が搭載されることが発表された。しかし、これに起業家のイーロン・マスク氏が猛反発している。同氏がオーナーを務める「X」がiPhoneで使えなくなることを危惧する声もある。

「カンファレンスの中でアップルは独自の生成AIとなる『アップル・インテリジェンス』を発表しました。同機能は、例えばiPhoneで受信したメールを要約したり、送信するメールを添削してくれたりと利便性を高めてくれるといいます。さらに、オープンAIと提携してチャットGPTを導入することも明らかにされ、こちらは音声アシスタント『Siri』などの精度をさらに高めることになります」(ITジャーナリスト)

 ついにiPhoneにもAIが本格導入されることとなるが、マスク氏は自身のXで「もし、アップルがOSレベルでオープンAIを組み込むのであれば、私の会社ではアップルデバイスは使用禁止になる。これは容認できないセキュリティ違反だ」とチャットGPTの導入を猛烈に批判。さらに、自社の社員だけでなく訪問者へもアップル製品の持ち込み禁止を通告し、「完全に安全なXフォンが欲しい人はいますか?」と独自のスマートフォンを開発する可能性まで示唆している。

「もともとマスク氏はオープンAIの共同設立者でしたが、その後、同社とは対立しており、今年2月には『マイクロソフトの子会社として利益を追求しているのは契約に違反している』と提供した資金の返還などを求めて提訴しています。そのため、同社のチャットGPTをアップルが採用したことが許せなかったのでしょう。当然、iPhoneでXを利用する人は多く、さすがにアップル製品から完全撤退ということはないと思います。ただ、マスク氏とアップルはアプリ内手数料問題や広告撤退などで軋轢もあるだけに、マスク氏がヒートアップした場合は何が起こるかわかりません」(同)

 iPhoneでXが使えなくなる日がやってくることもなくはなさそうだが、マスク氏の猛反発の発信はしばらく続きそうだ。

(小林洋三)

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