「もしトラ」でヘンリー王子が窮地に!薬物遍歴で「国外退去」の現実味

 これもまた、米国民の感情を煽り、現政権の批判に結び付けたいという、この男の狙いなのだろうか。米ワシントン近郊で2月23日に行われた保守政治行動会議の会合で、トランプ前米大統領が、2020年に王室を離脱、現在は米カリフォルニア州に住むヘンリー王子に対し、「王子は女王を裏切った。それは許されないことだ。私は彼を守りたくない」と発言した、と翌24日付の英エクスプレス紙が報じ、国内外で大きな波紋が広がっている。

 トランプ氏は大統領時代の19年、国賓として英国に招かれ、バッキンガム宮殿で女王主催の晩さん会に出席。その後のインタビューでも「女王は偉大な女性だ」と称賛の声を送っていたが…。

「そんなこともあって、ヘンリー夫妻が女王の許可を得ずに、長女に『リリベット』という女王の愛称を命名した問題で英国民から大バッシングされ、米国でも夫妻の人気は下降する中、トランプ氏としては、米国民からも注目を集めるヘンリー王子の名前を出して、なんとか現政権批判を展開したい。それが、今回のヘンリー夫妻を『裏切者は守らない』的な発言に繋がったのではないかとみられています」(国際部記者)

 というのも、ヘンリー王子は、昨年1月に出版した回顧録「スペア」の中で過去の薬物使用を告白。共和党系のシンクタンク「ヘリテージ・ファウンデーション」が、この発言を問題視し、現在、国土安全保障省を相手取り、ヘンリー王子のビザ申請に関する情報公開を求め提訴しているからだ。

「当然のことながら、米国では薬物を使用した外国人はビザを取得できない。つまり、王子はビザ申請時に虚偽の申告をして入国したか、あるいは現政権の忖度により、王子を元ロイヤルだとしてビザを与えた、というのがシンクタンク側の主張ですが、それが事実ならバイデン政権にとって致命傷になることは必至。訴訟の行方に注目が集まっています」(同)

 つまり、過去の薬物使用を隠ぺいしたままでの移住となれば、最悪ビザ取得自体が無効となる可能性もゼロではない。トランプ氏いわく、そんな現状を作り出した元凶が、バイデン氏による現政権の忖度によるものだというのである。

「英エクスプレス紙の取材に対しトランプ氏は、『バイデン政権は王子に対して優しすぎる』とバイデン批判を繰り返した上で、もし自身が大統領に返り咲いた場合は、王子のビザ問題にも厳しく対処していくとしたことで、さっそく英国メディアでは、『もしトラ』なら、王子の強制送還もあり得るとの指摘も出ていますからね。11月の大統領選は、ヘンリー夫妻の今後を占う意味でも、大きな注目を集めそうですね」(同)

 現在、王子は英王室を離脱し、米カリフォルニア州を拠点に暮らしているが、「王室の称号を手放してアメリカの市民権獲得も視野に入れている」との報道もあるものの、ビザ自体が破棄されれば、国外退去が現実味を帯びてくる。

 くしくも、英国王室をも巻き込む形になった米次期大統領選。その行方が気になるばかりだ。

(灯倫太郎)

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