巨額赤字でサービス維持は困難、それでも固定電話は残すべき?

 2月22日、総務省の有識者会議に参加したNTTの島田明社長は、利用者の減少により毎年500億円規模の赤字を計上する固定電話サービスの維持は困難とし、携帯電話を軸とした制度へ移行するよう提案した。家族で暮らしている人の中には家に固定電話があるという人も多いだろうが、今後は残すべきなのだろうか?それとも解約するべきなのだろうか?

「利用者が減少しているとは言いますが、総務省が発表する通信利用動向調査によると、2022年に固定電話を保有する世帯は63.9%もいます。ただ、固定電話から電話を掛けるわけでもなく、掛かってくるのは営業や詐欺の電話ばかり。月々3000円近くの基本料が取られていくばかりで、いつ固定電話を解約しようか悩んでいる家庭も少なくないでしょう」(社会部記者)

 固定電話は親戚や古い友人との連絡に使用したり、社会的な信用のために契約していたり、災害時の連絡手段として残しているケースが多い。特に利用するのは60代以上の高齢者がほとんどだが、「NTTドコモ モバイル社会研究所」が昨年実施した調査では60代のスマホ所有率は93%、70代の所有率は79%となっており、やはり固定電話の利用率はそこまで高くないのが実情のようだ。

「何かあった時のために残している世帯も多いと思いますが、今や固定電話がないから契約が出来ないということもほとんどありませんし、災害時にも固定電話から固定電話に連絡するケースもそれほど多くないので、はっきり言ってしまえばスマホで十分だと思います。昨年は、特殊詐欺の件数が過去15年で最多となり、その手口の8割が電話によるもので、さらに電話のうちの9割は固定電話を狙ったものだったことが分かっています。特に高齢者世帯の固定電話は詐欺の目標にされやすいので、もし携帯電話も持っているようであれば、固定電話は解約した方が安全のためにもいいかもしれません」(フリージャーナリスト)

 明確な使用目的がなく残しているのであれば、解約した方が経済的にもいいだろう。

(小林洋三)

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