北海道と東北、信越エリアの全17店舗を25年3月までに閉鎖することを発表した「イトーヨーカドー」。食料品や日用品に加え、衣料品や家電、雑貨類などを幅広く扱う総合スーパーの先駆けだったが、近年は業績が悪化。8年前の2016年2月末時点では182店舗あったがすでに閉鎖が相次いでおり、26年2月末までに半数の93店舗に大幅縮小する計画だという。
今回閉鎖が発表された店舗のひとつが、札幌市内にある「イトーヨーカドー福住店」。札幌ドーム最寄り駅の地下鉄福住駅に直結する地域のランドマーク的な商業施設だが、地元の各メディアは9月中の閉店に向けて調整中だと一斉に報じている。
さらに札幌ドーム周辺では、昨年12月に大手コンビニも閉店している。日本ハムが昨シーズン、ホームをエスコンフィールド(北広島市)に移転させたことで、札幌ドームで公式戦が開催されず、客足が激減したのが原因だ。
「福住は札幌駅から地下で約20分と近く、地域の人口は今も増えています。それでも日ハム撤退後はイトーヨーカドー福住店も地下食品売り場を除けば、以前にも増して閑散としている。地元の人も買い物の際は街の中心部や近隣のイオンモールなどを利用するからです」(地元在住の経営コンサルタント)
実際、筆者も福住やその周辺を歩いてみたところ、駅かドームに向かう国道36号線の交通量こそ多いが、街の規模の割に歩行者はまばら。かつてドームで試合やコンサートなどが行われる日は駅から歩道を埋め尽くす人の波が続き、沿道の飲食店はどこも賑わっていたのに、それが嘘のような雰囲気だ…。
「ドームの南側には緑が広がりますが、ここは国の農業試験場。そのため、福住には大規模な商業施設を建てる土地はありません。イトーヨーカドーは施設が譲渡される見込みですが、売り場面積を広くできない以上、客を呼び込めるかは疑問です」(前出・経営コンサルタント)
3月2日・3日には札幌ドームでオープン戦(日ハム対阪神)が予定されているが現時点で公式戦の開催予定はなく、たった2試合では焼け石に水状態。やはり地元にとって、日ハムと客を呼べた頃のドームの存在はあまりに大きかったようだ。
(高島昌俊)