日ハムが去った札幌ドームが1年で黒字化のカラクリ

 22年シーズンを最後に北海道日本ハムが新球場のエスコンフィールドに本拠地を移し、最大のお得意様を失ってしまった大和ハウスプレミストドーム(札幌ドーム)。その結果、23年度の純損益は過去最多となる6億5100万円の赤字を計上することに。ところが、24年には2400万円の黒字見通しと1年でV字回復していたことが明らかになっている。

 ちなみに日本ハムの札幌ドーム時代の1日の球場使用料は、831万6000円(16年10月以前は800万円)。しかも、観客数が2万人を超えると1人あたり415円(同400円)が加算され、それに付随する関連費用なども含めると当時の札幌ドームの売り上げの約3割が日ハム関連。そうした状況にもかかわらず、なぜ黒字に戻すことができたのだろうか?

「大きかったのは4年10億円という大和ハウス工業からのネーミングライツ料。プロ野球の本拠地ではなくなり、高額な命名権について疑問視する声もありました。当初は応募がゼロだったため、ドーム側にとっては本当にラッキーだったと思います」(経済誌記者)

 また、コンサートも24年度は10月にSnow Man、25年3月にはSixTONESがそれぞれ2日間開催。2月には米津玄師のライブも行われ、激減していたコロナ禍に比べるとイベントなど貸館収入も復調傾向にあるが、これらで損失分をすべてカバーしたわけではない。

「現に24年度の札幌ドームの営業利益は8700万円の赤字です。それでも黒字化に成功した大きな理由は、過去の利益を積み立てた市の基金の一部を充てたから。要はこの“暫定措置”のおかげに過ぎず、本当の意味で黒字にできたわけではないんです」(同)

今年度も同様に基金の一部が予算に盛り込まれ、収支は昨年を上回る4000万円の黒字を見込んでいるが、この基金だって無限にあるわけではない。

本当の黒字化を果たすためには、今のうちに次の一手を講じる必要がありそうだ。

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