中国の「不敬工作」学習院「チャイナスクール創設」重大危機(下)権威ある人物や法人を利用する「新指針」

 だが、A氏は、そういった気配は微塵も見せずに、有料の講演会を頻繁に開き、天皇皇后両陛下らと一緒に撮った写真を披露しつとはどんな関係にあるのかなどについて、関係各者に話を聞いた。まずは計画を喧伝しているB氏。

「架空の話。あり得ない。(中国大使館の教育部の人間を)昔は知っていたが、この話とは関係ない」

 と否定するが、計画のキーマンとされるA氏は、

「話は聞いたことがある。Bさんは、学習院だけでなく、慶応や早稲田、青学や立教といった有名私学に『チャイナスクール』を作りたいと言っていた」

 と明かすのだった。だが、自身のこととなると、やはり否定する。

「私は関係していない。学習院とやり取りしていることもないし、それ(文書の記述)は虚偽だ」

 中国との関係についても、「在日大使館の教育部の人間と会ったことはない。そもそも大使館には足を踏み入れたことさえない」とした上、公安関係者の指摘についても「まったく違う」と切り捨てた。

 一方、学習院は、こう答える。

「計画については、存じ上げておりません」

 これらの証言からすると、計画は構想の域を出ていないと安堵してしまいそうになる。が、公安関係者はこう警鐘を鳴らす。

「留学生を送り込んだり、親中国の学生を育成したりして日本の最先端技術や知識などを窃取しようという中国の工作─いうなれば『教育工作』のありかたが、変わりつつある。これまでは目立たぬようにしてきたが、今や公然と、“権威のある人物や法人などを利用して”との新指針が打ち出された。学習院の『チャイナスクール』は、その象徴的な事例のひとつとみられる。架空の話などではない」

“教育工作”と言えば、教育機関の看板を掲げつつ、実際は中国共産党のプロパガンダをはじめ、数々の情報工作を行っている「孔子学院」が大学などと連携して設立され、日本にも数多く存在している。公安関係者は、その職場版とも言える「孔子学堂」が最近、有名病院に設置された例も挙げた上で、こう断じた。

「学習院の件は、難航しているようだが、着々と進められているミッションだ。AやBは、現場工作員とみられている」

 今後も「チャイナスクール」構想には注視が必要であろう‥‥。

時任兼作(ジャーナリスト)

「週刊アサヒ芸能」2月29日号掲載

ライフ