松屋フーズが生パスタ専門店「麦のトリコ」をオープンした狙いとは?

 牛丼チェーン「松屋」を運営する松屋フーズは、神奈川県川崎市に新業態となる生パスタ専門店「麦のトリコ」をオープンした。これまで同社が展開してきた飲食チェーンとはかなり毛色が違うため驚きの声もあるが、今後は「松屋」の限定メニューのバリエーションも増えるかもしれない。

「『麦のトリコ』は1月31日、元住吉に1号店がオープンしました。『毎日の食事に、パスタを気軽に』をコンセプトに、これまでのソース作りのノウハウを活かして米以外の楽しみ方を提供するとしています。パスタソースは『ミートソース』『たらこ』『ペペロンチーノ』『カルボナーラ』の4種類があり、各ソースには880円(以下、税別)、1080円、1280円のメニューバリエーションが用意されています」(フードライター)

 松屋フーズが生パスタ専門店を出店するのは意外に思われるかもしれないが、実は新業態へのチャレンジを積極的に行っていて、ここ数年では天ぷら専門店の「ヽ松(てんまつ)」やトマトスープラーメン専門店の「トマトの花」、そば専門店の「松そば」、デリバリー専用ライスバーガーの「こめ松」など様々な事業を展開してきた。

「同社が新業態へ次々と挑戦するのは、売上高の約8割を占めるなど牛丼チェーンの比重が大きいことがあります。牛丼は庶民の食べ物というイメージがありますから、今の物価高が続くようであれば苦しい状況に追い込まれる可能性もあるので、新業態にチャレンジするのは正しい判断といえるでしょう。松屋フーズは『松そば』や『こめ松』もそうですが、新業態にチャレンジしてもダメならすぐに撤退する潔さもあるので、『麦のトリコ』もダメならノウハウを吸い上げて『松屋』の限定メニューなどに活かすという感じではないでしょうか」(経済ジャーナリスト)

 生パスタ専門店への挑戦が、「シュクメルリ」のようなヒット商品を生むきっかけにもなるのかもしれない。

(小林洋三)

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