佐藤治彦「儲かるマネー駆け込み寺」6月スタート「定額減税」のポイント!夫婦+子供2人で計16万円減税

 もう多くの人が忘れてしまっているかもしれないけれど、去年の11月頃から賛否両論あった岸田首相の今年の税制改正で、多くの人の財布に影響する定額減税などについて、わかりやすくまとめておきたい。

 まずは「定額減税」だが、年収2000万円以上の人は対象外となる。当たり前だよね。

 定額減税は所得税3万円、住民税1万円の合計4万円が1人につき減税される。注意してほしいのは世帯ではなく〝1人につき4万円〟だということ。例えば夫婦と子供2人の4人家族なら合計16万円の減税となる。税額控除でなく減税なので、これだけ手取りが増えるということだ。

 サラリーマンの場合は、今年の6月の給料分から実施。ただ、日本では格差が広がりすぎてしまったので、所得税などをそれほど納めてない人も多い。その場合はどうなるか。

 例えば、先ほどの4人家族の年間の納税額が13万9000円という場合、本来は16万円分の減税になるのに減税しきれないことになる。その差額は2万1000円だが、この部分は現金給付となる。それも1万円単位で切り上げとなるので、この家族の場合は3万円の現金給付になる。

 また、自営業者やフリーランスの場合は、来年(2025年)の確定申告の時に計算されて戻ることになる。相当先の話だね。

 日本では4分の1くらいの世帯が所得税を納めていない家庭だ。主として高齢者の家庭だが、40代前半の働き盛りの家庭でも、8%くらいは所得税を納めていない。そのような場合はどうなるか。

 まず「所得税は納めていないけど、住民税の均等割は払っている家庭」の場合は、1世帯あたり10万円の給付になる。しかし、それでは子供の多い家庭などは恩恵が少なくなる。

 そこで「18歳以下の子供がいる場合は、1人につき5万円を上乗せして給付する」ことになった。なので夫婦に子供2人の4人家族の場合は20万円の給付となる。早ければ2月から3月にかけて支給される。

 最後に「所得税も住民税も納めてない世帯」については、すでに3万円が給付されているので、今回の給付は1世帯あたり7万円。さらに、18歳以下の子供1人につき5万円の給付ということになる。

 こうした給付は来月あたりから順次開始ということになっている。ただし、差額分は相当先になる可能性もある。給付については自治体から郵便で連絡が来る。時には振込口座の申請などの手続きが必要な場合もあるので、自治体からの連絡は捨てないできちんとチェックしてもらいたい。

 もう1つが「児童手当の拡充」についてだ。今まで中学生以下が対象だったけど、18歳以下の高校生なども含めることになった。こちらは所得制限がなく、原則として1人年間12万円。今年の12月から2カ月ごとに2カ月分ずつ支給される。例えば対象の子供が2人いる場合は、2カ月ごとに4万円の支給となる。

 ただし「扶養控除」については引き下げが検討されている。ここの部分は増税ということになるわけだ。差し引きで負担が増えることにならないようにする案が検討されている。他にも「子育て世帯の生命保険料控除の上限が4万円から6万円に増える」ことも今年の税制改正のポイントだ。

 ここまで読んでくれた多くの人がきっと思っているのは〈何とか、もう少し早く支給してもらえないものか〉ということだろう。

 多くの反対はあったものの、私がマイナンバーカードの普及について、あえて反対してこなかったのは、マイナンバー制度がしっかりしてくれれば税金逃れができなくなり、給付はもっと簡単に素早く行えるようはずだ、と思ったから。

 そうはいってもパーティー券で裏金を作り、政治資金どころか、ポッケに入れてしまうような悪徳政治家さんには無力なんだけどね。

佐藤治彦(さとう・はるひこ)経済評論家。テレビやラジオでコメンテーターとしても活躍中。新刊「つみたてよりも個別株 新NISA この10銘柄を買いなさい」(扶桑社)が発売中。

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