家賃高騰で注目、「風呂なし物件」人気のワケは安さだけではなかった

 近年のマンション価格や物価の高騰を受けて、家賃も値上がり傾向が続いている中、「風呂なし物件」がひそかに人気を集めているという。

「不動産情報を扱うアットホームが今年夏に東京や大阪、福岡など6エリアを対象に行った調査によれば、募集家賃が軒並み上昇。特に70平米以上の大型ファミリー向きのマンションは大阪府で前年比13%以上、30平米以下のシングル向きアパートは東京都下で4.7%も上昇していました。なお東京23区の30平米以下のアパートは横ばいながら、募集家賃の平均は6万5000円と高い水準にあります」(不動産ジャーナリスト)

 高騰しているのは家賃だけではない。食費や光熱費の負担も重くのしかかることで、少しでも家賃を低く抑えようと、「風呂なし物件」に住む若者が増えているという。

「風呂なしと聞くと、ネガティブなイメージが強いかもしれませんが、それを逆手に取ったのが、風呂なし物件を専門に扱う『東京銭湯ふ動産』。『風呂がないんじゃない、銭湯があるんだ』というキャッチコピーのもと、銭湯のある暮らしを提案。サイトで物件を閲覧すると、最寄りの銭湯までの徒歩所要時間が記されています。もちろん、日々の銭湯の利用料金はかかりますが、風呂なし物件なら、家賃は比較的安く、ガス代や水道代も低くおさえられますからね。なお、同社のサイトを見たところ、“憧れの港区”で6万円台のシャワー付き物件もありました」(前出・不動産ジャーナリスト)

 銭湯やサウナの愛好家にはむしろ風呂なしのほうが好都合かもしれない。また、そもそも「家にシャワーは不要」という若者も増えてきているという。東京23区内で家賃4万円台の風呂なし物件に住む20代の会社員はこう話す。

「同じエリアでも風呂ありと風呂なしでは家賃が2万円くらい違いますからね。築40年以上の古い物件で、近くに銭湯もありませんが、とても満足しています。実はアパートの最寄り駅の前に24時間営業のジムがあって、シャワーは使い放題。月額利用料金も1万円以下なので、とても助かっています。おまけにトレーニングもできて一石二鳥ですよ」

 専門不動産も登場し、風呂なし物件のイメージは向上。24時間営業のジムが増えたことで、風呂あり物件に住むメリットはあまりないのかもしれない。

(福島シゲル)

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