金正恩「ミサイル挑発」はトランプへの熱烈ラブコールだった! 韓国紙が仰天報道

 来年11月の米大統領選挙に勝利し、再び政界に返り咲くべく全米で遊説を続けるドナルド・トランプ前大統領。相変わらず、行く先々で問題発言を繰り返しているようだが、16日にニューハンプシャー州で行われた選挙遊説では、支持者数千人を前に「南米だけでなくアジア、アフリカ出身移民者がどんどん米国に流入している。彼ら移住民が米国の血を汚している」と発言したことで大きな物議を醸している。

「この発言はヒトラーが『我が闘争』の中で主張した『アーリア人がユダヤ人によって汚染される』を連想させますが、トランプは集会でこうした言葉を繰り返し使うことで、移民の脅威を民衆に刷り込もうとしています。トランプ氏は、イスラム圏からの入国禁止拡大などの移民政策強化をぶち上げ、支持を集めていますからね。今後も保護主義的な発言は過激さを増していくでしょう」(国際部記者)

 さらに、最近トランプ氏が遊説先で口にするのが、「北朝鮮の金委員長は非常に良い人」「彼は(正恩氏)この政権があまり好きではないが、私のことは好きだ」といった、金正恩総書記を持ち上げるフレーズだ。

「トランプ氏は大統領時代の2018年6月と19年2月、同年6月の3回にわたって正恩氏と首脳会談を行い、3回目には南北の軍事境界線にある板門店での会談を実現させました。とはいえ、実務者交渉の再開で合意はしたものの、夏の米韓合同軍事演習を境に、北朝鮮はミサイル発射を繰り返し猛烈に反発。昨年9月に公開された、トランプ氏と正恩氏との書簡には、《私は実務者交渉に先立ち、軍事演習が中止か延期になると信じていた。会談後に何が変わったのか、人民にどう説明すればいいのか?》という正恩氏の不満が連綿と書き連ねられていました。ただ、正恩氏は手紙の最後に《今は実務者級で対話する時期ではない。戦争演習が終わる時にもう一度連絡をください》と綴っていますからね。つまり、トランプ氏が米大統領に返り咲いた場合、両国間での交渉が再開される可能性もゼロではないということです」(同)

 そんな証言を裏付けるように、19日の韓国紙「中央日報」が「金正恩はトランプに賭けた」とのタイトルで興味深い記事を掲載している。

 記事によると、ミサイル実験を再三成功させることで、来年の米大統領選挙を前に、北朝鮮の核能力をアピールする狙いがあるとする一方、今年すでに5回目とあまりにも回数が多いため、かえって挑発効果が薄れているという疑問も呈している。

「そのうえで仮説として示されたのが、来年の大統領選でトランプ氏が再選を果たすことを見越したうえでの措置というものです。つまり相手が“知らない仲ではない”トランプ大統領であれば、北朝鮮の核廃棄ではなく、核開発凍結の約束で制裁緩和を引き出すディールができるかもしれない。そうすれば少なくとも北朝鮮はいまの八方塞がりな状況から脱却できます。その意味では、一切テーブルに着く気がないバイデン氏に比べると、トランプ氏のほうが圧倒的に与しやすい。トランプ氏もそんな正恩氏の下心を知っているからこそ、持ち上げるコメントをしているという可能性もありますね」(同)

 直近のアメリカの世論調査では、激戦区でことごとくトランプ支持がバイデン支持をリードしているという。「大統領選後」の世界情勢が気になるばかりだ。

(灯倫太郎)

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