佐藤治彦「儲かるマネー駆け込み寺」ご注意、ロードサービスのトラブルが急増中!

 お疲れ様です。テレビのニュース番組や情報番組の定番に、ドライブレコーダーで記録されたあおり運転や、目の前に急停車して怒鳴り込んでくる映像があるよね。他にも、高齢者の運転手に多い逆走やアクセルとブレーキの踏み間違いによる事故。こうした驚くような事例は少なくない。

 危険運転にいつ遭遇するかわからない時代だけに、私は横断歩道を渡る時にも青信号だからと安心しすぎることはなくなったし、信号待ちでも道路から離れるようにしている。とにかく何が起きるかわからないからね。

 人身事故以外にも、運転中のトラブルは時折ある。車やバイクの運転をしていれば、事故にあったりマシンが故障ということもある。そういう事故や故障が起きた時に、自分自身で対処するよりも、ディーラーや修理業者、そして、ロードサービスといったプロに頼むのが一般的だよね。

 でも最近、このロードサービス業者に修理などを依頼したところ、あとになって高額な費用を請求されたという事例が頻発。損害保険会社や消費者センターへの相談件数が急増しているという。22年度には消費者センターに寄せられた相談件数は、前年度の約3.3倍に急増したとか。

 こうしたトラブルが増えている背景に、業者をネットで簡単に選んでしまうことが挙げられる。例えば「格安」「早い」などを検索ワードにつけ足して出てきた業者のサイトの「激安」「すぐ行きます」「評判がいい」などの宣伝文句につられて、事故や故障で慌てている時だからと簡単に頼んでしまうことからトラブルに発展してしまうのだ。

 だいたい安い、早い、うまい、利用者の9割が満足など、自分自身で持ち上げるようにうたっていても、本当かどうかなんてわからないからね。

 具体的にトラブルの事例を3つ紹介しよう。

【その1】基本料金〇千円とあったので、きっと安いだろうと頼んだら、事前に説明のなかった「緊急対応費用」「夜間対応費用」「休日費用」「出張費用」「作業費用」など、ネットに書かれていない諸費用を請求されて、1万円以内で済むと思っていたら7万円だった。

【その2】車両の状況を見ないと、どのくらいになるかわからないと言われたので、来てもらい見積もりを頼んだら、あまりにも高額だったので断ろうとしたら、10万円のキャンセル料を請求された。

【その3】運転中の事故や故障は誰もが焦ってしまうもので、冷静な判断はなかなかできない。あとで損害保険会社に請求しても保険でカバーされないケースもある。ですがうちはA保険会社と提携しているから、全額カバーされますよ、と説明されたので、とりあえず支払ったらウソだった。

 対策はある。事故はもちろん、バッテリー上がり、パンク、エンジントラブル、ガソリン切れといった故障などの場合でも、まずは修理業者やロードサービスに連絡するのではなく、自分の入っている自動車保険会社などに連絡して相談することをオススメする。なぜなら、自動車保険にロードサービスが付帯サービスとして組み込まれていることは少なくないからだ。

 もし保険でカバーされなくても、車を買ったディーラーがロードサービスを提供している場合などもある。このように、あとで費用をカバーしてくれるはずのところに、まずは連絡、相談するのが確実だ。

 今回、紹介したトラブルは、まだ運転経験の浅い若い人を中心に特に多いという。事故や故障にあうだけで大きな損害なのに、その上、経済的な負担も負わされちゃ、年末の物入りの時にダブルパンチだ。

 似たようなケースでは、水道など家周りのトラブルで業者に来てもらったら高額だったなんてこともある。まずは疑うなんて嫌な時代だけれど、自分と家族を守るために、気をつけたいね。

佐藤治彦(さとう・はるひこ)経済評論家。テレビやラジオでコメンテーターとしても活躍中。著書「素人はボロ儲けを狙うのはおやめなさい 安心・安全・確実な投資の教科書」(扶桑社)ほか多数。

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