11月24日に行われるアブダビGPで今シーズンの最終戦を迎えるF1。年間王者はすでにフェルスタッペン(レッドブル)で確定している。
だが、今年で74年を迎えるF1の歴史の中で長らくファンの間で議論になっているのが、「F1史上最速のレーサー」について。実は、20年にF1は70周年記念の取り組みの一環として、アマゾン・ウェブ・サービスの協力のもと、83年以降の全ドライバーの膨大な走行データを分析。年代やチーム間の技術格差を除いた客観的な評価から、歴代最速ドライバーのランキングを発表している。
それによると歴代5位は、05年と06年の2度の年間王者に輝き、42歳となった今シーズンも現役F1ドライバーとして活躍するF.アロンソ、4位には今シーズンで3連覇を達成したフェルスタッペン、3位には17~20年の4連覇を含む、史上最多となる7度の王者に輝いたルイス・ハミルトンと、現役組が続く。
一方、彼ら現役組を抑えて2位にランクインしたのが、現役時代はミスのない絶対的な走りから〝皇帝〟や〝サイボーグ〟の異名で知られたM.シューマッハ。ハミルトンと並ぶ歴代1位タイの年間王者記録の保持者だが13年のスキー事故以来は一度も表舞台で出ておらず、療養生活が続いていると言われている。
そして、栄えある1位となったのがアイルトン・セナ。日本でF1がブームだったバブル期、甘いマスクと圧倒的な速さで若い女性ファンからは「セナ様」とも呼ばれていたが、94年のサンマリノGPで高速コーナーに激突。そのまま帰らぬ人となった。
「セナは当時最強だったマクラーレン・ホンダの恩恵もあって勝ち星を重ねましたが、彼の本領は性能的に劣るマシンでの神がかり的なドライビング。なかでも最終ラップまでマンセルを抑え切った92年モナコGP、最初の1周目でライバルのプロストを含む4台をごぼう抜きし、そのまま逃げ切った93年の雨のヨーロッパGPは伝説として語り継がれています」(モータースポーツ専門誌編集者)
やはり〝音速の貴公子〟はF1界でも別格の速さだったようだ。