ホンダ、「F1開幕戦」中止で“ラストチャンス”が台無しとなった大ダメージ

 3月13日にオーストラリアで開催される予定だった「F1オーストラリアGP」が急遽、開催中止に追い込まれた。F1運営サイドは観客を入れて開催するつもりだったが、マクラーレンのチームメンバーに新型コロナウイルスの感染者が出たため、苦渋の決断をしたようだ。

 オーストラリアGPは2020年F1の開幕戦。今後の開催に大きな影響を及ぼすのは間違いない。次のバーレーンGPは無観客での開催が決まっているが、これも中止に追い込まれそうだ。さらにその次のベトナム、中国も中止になる可能性が高いと報じられている。その後は5月1日〜3日に開催されるオランダGPで、以降、スペイン、モナコとヨーロッパラウンドに入るが、これも予断を許さない状況だ。チャンピオン決定にも大きな影響を及ぼしてくるだろう。

「そんななか、最も影響を受けるチームはレッドブル・ホンダかもしれません。というのも、今年はチャンピオンとコンストラクターズ獲得を目指して、早くから準備をしてきましたからね。例年、レッドブルは開幕直後はいまひとつながら、シーズン途中でアップデートを繰り返し、後半巻き返すチーム。それが開幕ダッシュを狙って準備万端でシーズンに望んでいたんです。それなのに中止になってしまうとは、アンラッキーとしか言いようがありません」(モータースポーツジャーナリスト)

 シーズン開幕前にバルセロナで行われた合同テストでは好タイムを出し、マシンの完成度は例年になく高いと言われていた。レッドブル・ホンダのドライバー、マックス・フェルスタッペンを優勝候補に推す元F1ドライバーもいるほど、期待されていたのだ。

「昨年のチャンピオンであるメルセデスAMGはテストでエンジントラブルが続き、もう1つのライバルフェラーリは車体に問題を抱えていると言われています。その隙を突いてレッドブル・ホンダはポイントを獲得したかったはず。このままだとライバルたちは再開時に問題を解決してしまうかもしれません」(前出・モータースポーツジャーナリスト)

 では来年に期待を、というわけにも行かないという。

「現行のルールは今年いっぱいで、来年から『F1史上最も大きな変化』とされる規定(レギュレーション)変更が行われるんです。これにより、チームの勢力図が一変する可能性もあるとされている。現在、トップ3の位置にいるレッドブルもどうなるか。考えようによっては、レッドブル・ホンダにとってチャンピオン獲得の最後の年とも言えるんです」(前出・モータースポーツジャーナリスト)

 苦境を乗り越えてレッドブル・ホンダはチャンピオンを獲得できるか。まずはレースの再開を待ちたい。

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