10月23日に招集された秋の臨時国会の冒頭、所信表明演説では「経済、経済、経済」と、岸田総理は「経済」を連呼。23年春の大手企業の賃上げ3.99%アップの実績と、税収増4兆円をバックに、期限付き所得税減税での「還元」を打ち出すが、先には防衛増税で法人・所得・たばこの3増税が予想されていることから、「一体、『増税メガネ』はその目の底で何を見ているのか」と不信感ばかりが高まり、トンと評判が悪い。
「分かりやすいのが、鈴木俊一財務大臣の発言です。20日には政府の総合経済対策に所得税減税が盛り込まれる可能性があることを記者に問われると、『財政規律を守る中で、やることをやる』と発言。財政規律優先のザイム真理教ぶりで、同じ政府内にあって全く違う方向を向いています」(全国紙記者)
こんなことだから減税を打ち出しても、その場しのぎで「結局は増税するんでしょ」という腹が見えてしまっているというわけだ。すると一方、国際通貨基金(IMF)は23日までに公表した経済見通しで、日本の名目国民総生産(GDP)がドイツに抜かれて4位に陥落する見通しであることを示した。前から予測されていたことではあるが、変わらない円安と日本より高いドイツの物価上昇率から、いよいよ現実化する見込みだ。にも関わらず、今回の減税打ち出しもしかり、以前から岸田総理の経済政策のセンスの無さが言われている。
「岸田総理は9月に『ニューヨーク経済クラブ』で講演し、『資産運用特区』なる構想を打ち出して、『インベスト・イン・キシダ』とアピールしました。もちろん安倍元総理の時に『バイ・マイ・アベノミクス』と訴えたのを真似たわけです。この構想は、英語のみで行政対応などが行える特区を設置することで、新NISA開始で日本人が資産投資に関心が向いたところに、外資系金融機関も続々と参入してもらうことで、岸田総理が打ち出す『資産所得倍増計画』を後押しするものとして考えられているわけですが、エコノミストからは、むしろこんなことをしたら日本人の『資産逃亡』に拍車がかかり、より円安に触れるだけと、すこぶる評判が悪かったです」(同)
国のトップが掲げた経済構想が大不評とあっては、日本がGDPでインドにも抜かれて5位に転落する日は、予想よりもかなり早まるかもしれない。
(猫間滋)