上位指名は、「関西」が占めることになるかもしれない。
10月22日、練習中だった阪神・岡田彰布監督が、記者団とのフリートークでドラフト会議の話題に触れた。
日本シリーズの対戦相手は同じ関西のオリックス。しかし、ドラフト会議（26日）の会場は都内のホテル。ドラフト当日、指名後の挨拶に行くことができないとボヤき、「都内の選手なら、当日挨拶も可能だが？」と記者団から突っ込まれると岡田監督は、
「どっちみち関西やから、ドラフトは。あっ！」
意中の1位候補が関西圏にいることを漏らしてしまったのだ。それを受け、大商大の好右腕・上田大河投手、高校生ナンバーワン左腕・大阪桐蔭の前田悠伍の指名を予想する声が高まった。
しかし、同時にこんな見方もされている。岡田監督の言った「どっちみち関西だから」の「どっちみち」のフレーズが気になる、と。
「阪神は即戦力投手を獲るようです。本命は大商大・上田か大阪桐蔭・前田でしょう。でも、クジに外れて意中の選手が獲れなかったら、将来性ある選手に切り替えると。クジを引き当てても外れてもの意味で『どっちみち』と言ったのかもしれません」（ベテラン記者）
その「将来性」でいうと、阪神は捕手の補強も視野に入れている。上位指名でリストアップされているのが、報徳学園（兵庫県）の捕手、堀柊那だ。堅守強肩で打撃力も高い。とくに二塁送球の球速とスローイング動作の俊敏さは高く評価されている。
「ソフトバンクの甲斐が盗塁阻止でファンを喜ばせたように、『強肩』でお客が呼べる捕手になるかも。単に、肩が強いだけではありません。スローイングの送球が低く、グンと伸びていく感じ」（在京球団スカウト）
また、今夏の兵庫県大会では4試合17打数7安打と活躍した。打撃力も高い。
「ワンバウンド投球を捕るのもうまいんです」（前出・同）
今のプロ野球界ではほとんどの投手が「縦の変化球」を使う。高校からプロ入りした選手は、まずその鋭さに驚くという。打席に立って、「打てない」と思うのだから、たいていの高卒捕手は捕球できるようになるまで時間が掛かる。だが、堀の場合はその心配がなさそうだ。
「巨人も捕手の上位指名を狙っています。西武、中日も次世代の捕手を探しています」（前出・ベテラン記者）
阪神の正捕手・梅野は32歳、坂本は30歳だ。岡田監督の「どっちみち」発言には、堀柊那の指名が含まれていたのだろうか。
（飯山満／スポーツライター）
