バスケW杯の視聴率が20%突破、世間で囁かれる「テレビ離れ」の正体

 2019年のラグビーW杯日本開催と同様、開催前はそれほど注目を集めていなかった男子バスケットボールのW杯。フタを開ければ、第2戦のフィンランド戦での日本代表の大逆転劇を皮切りにメディアを中心に手のひら返し。試合のたびに民放視聴率も右肩上がりで、パリ五輪出場権をかけた最終戦、9月2日のカーボベルデ戦は平均視聴率22.9%、瞬間最大視聴率30.2%と、昨年国民を沸かせたサッカーW杯の日本代表戦にも匹敵する数字をたたき出した。

「20%を突破したカーボベルデ戦はサッカーW杯のスペイン戦に肉迫する数字。サッカーの場合はAbemaTVでの視聴者も多かったので一概に比べられませんが、それまでなかなか陽の当たらなかった男子バスケで今回の数字は快挙だと思います。日替わりヒーローのような形で知名度が大幅にアップする選手もいましたし、人気コミック『スラムダンク』の登場人物などとセットでトレンド入りもしました。実際、10月に開幕するBリーグのチケットは、代表選手が所属しているチームのカードはほぼ完売状態です。ファンクラブにも応募が殺到して効果絶大のようですね」(スポーツライター)

 一大バスケブーム到来といえるかは別としても、民放で高視聴率をたたき出したことで若い世代からある風潮についてのコメントが呟かれているとか。

「世間では『テレビ離れ』という言葉が当たり前に聞かれます。ですから、バラエティやドラマなどが十数年前と比べて1ケタなど低視聴率でも、『テレビ離れ』という言葉で説明されていることが多い。ところが、日本ではドル箱スポーツとは言いづらい今回のバスケW杯が予想をはるかに上回る視聴率を取ったことで、ネット上では歓喜の声とともに『テレビ離れじゃなくて番組がダメなだけでしょ』など、テレビ業界を揶揄するコメントがひっきりなしに呟かれてしまいました。つまり、テレビ離れを生んだのは視聴者がワクワクするような面白い番組を作れなくなった作り手側に責任があるというわけです」(エンタメ誌ライター)

 臨場感あふれる筋書きのないスポーツと比べるのは酷だけれど、確かに高視聴率だと話題のドラマ「VIVANT」(TBS系)でも現時点での最高視聴率が第8話の14.9%。他のドラマと比べれば非常に高いとはいっても、国民の話題の中心にはなっていない。一方で、NBAの八村塁(レイカーズ)が来年のパリ五輪に参加すれば、「視聴率40%超え」を期待する声もあるとか。

 番組がつまらないからテレビ離れが起こっている。そんな当然のことを今さら世間に気づかせてしまった今回のバスケW杯。耳が痛い人たちが大勢いるのかも?

(飯野さつき)

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