優勝争いの行方は上位3球団のクローザーによって決まる——。阪神の「優勝マジックナンバー」のが消えた。8月29日、阪神がDeNAに逆転負けし、2位広島が巨人に勝利したためだ。
「9回、岩崎優が2本のホームランを浴び、逆転を許しました。岩崎の失点は6月17日のソフトバンク戦以来。岩崎を責めることはできません」(在阪メディア)
岡田彰布監督も「しゃあない」と割り切ったコメントを出していたが、こんな見方もできそうだ。クローザーが早く立ち直ったチームが優勝に近づく、と。
岩崎が救援に失敗したこの試合の9回裏、DeNAはクローザーの森原康平をマウンドに送った。しかし、2人の走者を背負う“綱渡り状態”であり、巨人に勝利した広島も9回裏に現クローザーの矢崎拓也を投入したものの、一打同点のピンチを招いている。
「矢崎は30日の同カードでも巨人・岡田悠希にプロ初ホームランを許しており、スンナリとは行きませんでした」(スポーツ紙記者)
広島は連勝した。しかし、広島・矢崎、阪神・岩崎、DeNA・森原ともども、本調子ではない。「夏バテ」といった雰囲気だ。
「この時期、どうしても疲れが出てくるんですよね。中継ぎ陣を含め、リリーバーを早く立て直さないとダメ」(前出・スポーツ紙記者)
また、阪神・岩崎、広島・矢崎、DeNA・森原は、奇しくも3人ともチーム事情でクローザーに配置換えされたクチだ。阪神は湯浅京己が、広島も栗林良吏が「WBC疲労」で調子を落としてしまった。DeNA・山﨑康晃も成績不振で中継ぎに降格された。3球団とも、試合終盤の失点を覚悟しての継投策になるだろう。
「今、セ・リーグでもっとも安定しているクローザーは、中日のマルティネスですよ。42試合に登板していまだ自責点は3。防御率は驚異の0.22。その次はヤクルトの田口麗斗。防御率は1点台です」(球界関係者)
5位と最下位のチームに絶対的な守護神がいて、V争いを繰り広げているチームのクローザーが綱渡り状態とは…。下位チームに取りこぼした1敗がV争いに響きそうだ。
(飯山満/スポーツライター)