正捕手を欠き、再考しなければならなくなった。
8月13日の東京ヤクルト戦で阪神・梅野隆太郎が左手首付近にデッドボールを受け、そのまま病院に直行した。ちょっと驚いたのは、試合後の岡田彰布監督の対応。「今年は無理でしょう。もう、それは無理やと思いますよ」と、ケガの具合を明かしたのだ。
「(梅野の)代わりはおらんよ。補充はできるけど」
指揮官はそうボヤいてもいたが、近本光司が右肋骨の骨折で欠場したときは復帰メドに関して、ここまでハッキリとは言わなかったはずだ。これも、首位独走の余裕か? だが、梅野の代役について、気になる点もないわけではない。
現在、阪神は「捕手2人制」で臨んできた。他球団は3人制だ。梅野、坂本誠志郎というハイレベルなレギュラークラスの捕手がいたから成り立っていた。梅野の代役が決まった後も2人制で行くつもりなのだろうか。
「各球団が捕手3人制で行きたいと思う理由は、試合中のアクシデントが怖いからなんです。たとえば、試合途中で捕手に代打を出したとします。途中から出場した捕手がケガをしてしまった場合、3人目の捕手がいなかったら、試合が成立しません」(ベテラン記者)
ただし、梅野の代わりに昇格した長坂拳弥、栄枝裕貴で捕手3人制になるとしても、一軍での経験値が少ないため、安心して任せられないかもしれない。すると実質的には、坂本ひとりに頼らざるを得ない状況になる。仮に坂本に試合中何かあったら、いよいよヤバイことにならないだろうか。
「本当にケガがあったら、原口文仁がマスクをかぶることになりそう」(前出・同)
原口は代打の切り札的存在だが、“捕手待機”もしなければならないようだ。終盤戦、意外な選手がキーマンとなりつつある。
(飯山満/スポーツライター)