定期購入に誘導…利用者を欺く「ダークパターン」日本のアプリ9割が該当という研究報告

 スマホを使っている人なら、誰しも遭遇したことがあるだろう。買い物や何らかのサービス申し込みをする際に、定期購入やサブスクでの購入にチェックが入った画面がデフォルトになっていたり、「在庫僅少」「今なら〇%オフ」などとすぐさま購入するように促す画面が出たりなど。このようにウェブサイトやアプリを利用するユーザーが、不利な選択をしてしまうように仕組まれたデザインを「ダークパターン」という。

「ダークパターンは日本のみならず世界中で問題視されていて、OECD(経済協力開発機構)が昨年10月に報告書を公表。EUでは禁止に動いたり、アメリカでも規制がかけられている州があります。そして実際、アメリカでは連邦取引委員会(FTC)が、有料会員制の『プライム』に消費者を欺いて登録者を増やしたとして、アマゾンを提訴しました」(経済ジャーナリスト)

 つまり今、ネット社会全体でダークパターンにどう対策していくかが問われているわけだが、東京工業大学の研究グループが日本におけるダークパターンの調査を行った報告によれば、国内の主要アプリ200種類のうちなんと9割以上でダークパターンが用いられていたというのだ。

「さらにその9割のうち、3種類以上のダークパターンが使われているものが6割もあった。手法としては、①事前選択(1回限りの購入でなく、事前に定期購入の選択枠にチェックが入っている)、②繰り返し(何度も繰り返し広告が表示される)、③翻弄(セール終了までのカウントダウン画面や、『今なら〇%オフ』などの表示が出る)といったパターンが多いそうです」(同)

 同様の画面に出くわしたと、心当たりのある人がほとんどではないか。なにせ9割のアプリなどで用いられているというのだから。その他にも、いきなり英語で書かれた画面が現れたとか、全然関係のないページに飛ばされたとか、混乱した人も多いはずだ。中には迂闊にも希望していない買い物をしたことになってしまい、すぐに解約しようとしても解約画面がどこにあるか分からなかったり、もしくは電話での解約しか受け付けておらず、とんだ手間暇を強いられたという人もいるだろう。

「海外では禁止や規制の動きに出ていますが、国内は手つかずのままです。デジタル担当で消費者庁の大臣でもある河野太郎さんの管轄ですが、4月に行われた会見でネット上の定期購入のトラブルについて質問された際の反応は、どうも鈍かったですね。そもそも不評極まりないマイナカード推進こそが、保険証廃止で取得を強要するダークパターン的手法ですからね。だからあまり触れてほくない問題なのかもしれません」(全国紙記者)

 ダークパターンはユーザーの円滑なスマホ使用を妨げているので、存在だけでもかなりの厄介者なのだが、わが国では規制の動きもないというのだから、いかにもデジタル敗戦国らしいと言うべきか。

(猫間滋)

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