大雨で被害続出!「被災ローカル線」はそのまま廃線の可能性も…

 誰も望んでいないが、近年は毎年のように起きている夏場の集中豪雨。河川の氾濫や土砂災害も相次ぎ、各地に甚大な被害をもたらしているが、なかでも大きな被害を受けているのが鉄道。土砂崩れや橋脚流出などで長期間不通となるケースが続出している。

 今年7月上旬の豪雨でも山陰本線の長門市−小串駅間、美祢線の全線(厚狭—長門市)、五能線の能代−深浦駅間、北上線のほっとゆだ−横手駅間は現在も不通のまま。奥羽本線の大曲−和田駅間は7月末にようやく運行が再開したばかりだ。

 また、米坂線の坂町−今泉駅間、津軽線の蟹田−三厩駅間は昨年8月の東北豪雨で現在も不通のまま。しかも、このときも五能線や奥羽本線の一部区間が被災。磐越西線や秋田内陸縦貫鉄道と合わせ、不通となった各区間は運行再開に長期間を要している。

 他にも肥薩線の八代−吉松間、くま川鉄道の人吉温泉−肥後西村間は令和2年7月豪雨から3年が過ぎたが、未だ復旧には至ってない。そうした中、16年8月の台風10号で被害を受け、以降は代行バスが運行されていた根室本線の東鹿越−新得間は、同区間を含む富良野−新得間の来年3月末での廃止が今年3月に正式決定。14年に廃止された岩泉線も10年の土砂崩れ以降は結局一度も復旧することはなかった。

「旅客収入が赤字のローカル線は、鉄道会社にとってはいわば不良債権。貨物の主要輸送ルートになっていれば別ですが、莫大な費用をかけて復旧させるメリットはありません。昨年10月、新潟−福島の秘境地帯を結ぶ只見線が11年ぶりに全線開通しましたが、これは福島県と沿線市町村が復興費用の3分の1、復旧後の運行経費を負担することも決めたから。そうでなかったら廃止は免れなかったはずです」(鉄道ジャーナリスト)

 ただし、このケースのように自治体が負担する場合、費用は税金なので住民の理解を得られるとは限らない。また、沿線の各自治体の足並みを揃えるのも難しいだろう。
 
 ローカル線にとっては豪雨などによる被災が再起不可能な致命傷となりうるのだ。

(高島昌俊)

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