高倉健さんゆかりの田舎駅が廃止の危機

 コロナ禍で営業収益が激減している鉄道各社。経営不振に苦しむJR北海道も20年度の営業損益はマイナス841億5900万円で、19年度より約290億円も赤字が膨らんでいる。

 そうした中、同社は4日に20年度の線区別の収支と利用状況を発表。なかでも道内ワーストを記録したのは、JR根室本線の富良野~新得間の81.7キロ。1日の利用客数を示す輸送密度は、たったの57人しかない。

 なかでもこの路線の東鹿越~新得間は、16年に台風で橋梁流失、土砂流入などの被害を受けて現在も不通のまま。同年11月にはJR北海道が「自社単独で維持することが困難な路線」の対象13区間のひとつに挙げており、うち3区間はすでに廃線となっている。

「この不通区間は、以前からの超赤字路線。今は代行バスが運行していますが復旧工事の予定もなく、このまま廃止になるのも時間の問題です」(鉄道ジャーナリスト)

 そうなれば対象区間内にある2つの駅も廃止となるが、そのうちの1つ「幾寅駅」はあの高倉健さんゆかりの駅。晩年の代表作で知られる『鉄道員』の舞台となった駅なのだ。

 劇中では幌舞駅の名前だったが、現在も駅舎にはこの駅名の看板が掲げられたまま。構内には駅長を演じた健さんが実際に座っていた駅長室のセットが残っており、さらに衣装や故・志村けんさんなど出演者たちのサインも展示する観光名所にもなっている。

「駅周辺にも映画で使用した食堂などの建物がそのまま残されており、全国から映画ファンが訪れています。一大観光スポットの富良野市と違って幾寅駅のある南富良野町に訪れる観光客はそれほど多くありません。地元にとっても貴重な観光資源なので恐らく保存されると思いますが、ファンからは駅舎はどうなるのか心配する声が上がっています」(同)

 映画でも廃止を目前に控えた駅という設定だったが、どうやらそれが現実のものとなりそうだ。さみしい限りだが、これも仕方のないことなのかもしれない。

(高島昌俊)

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