「強国」ウクライナを支える「エグい三大兵器」(2)ロシア領空内の戦闘機を撃墜

 ウクライナ軍にとって、ロシア軍の戦車は大きな脅威どころか、格好の標的となった。

「兵器の小型化という点では、携行型の対戦車ミサイル・ジャベリンも大きな注目を集めました。いったん射出してから飛行用のロケットへと2段階で点火されるので反動が少なく、歩兵でも扱えるのは大きい。軌道も2パターンあり、戦車に対しては上空から、装甲車には低い軌道で攻撃。実際、SNSでは戦車を破壊する瞬間の映像がいくつもアップされており、初期段階でロシアの猛攻を食い止めた救世主とも言えます」(山田氏)

 西側諸国から供与された兵器を駆使して地上戦を有利に進めたいウクライナ軍だが、空からの攻撃にも対処しなければならない。  
 
「ウクライナの空の守りを支えているのがアメリカのパトリオットミサイル。2タイプのミサイルがあり、射程の長いPAC2は長射程でロシア軍の巡航ミサイルなどを撃墜。一方、射程が短くても迎撃能力に優れたPAC3は速度の速い弾道ミサイルにも対応可能で、首都キーウで強固なミサイル防衛を行っています」(黒井氏)

 パトリオットが狙うのはミサイルに限らない。

「本来は弾道ミサイルの迎撃に用いられるパトリオットミサイルを応用し、ウクライナ国境に近いロシア領内を飛行する戦闘機の撃墜に成功しています。先日、ウクライナ空軍はミサイル関連の動画を公開しました。発射台に描かれた戦闘機やヘリなどのシルエットはこれまでの戦果と推察できます」(村上氏)

 前述したハイマースの射程は80キロだが、さらに長射程の兵器がウクライナの反転攻勢を後押ししている。

「まだ導入されたばかりですが、イギリスが供与した空中発射巡航ミサイル『ストーム・シャドウ』は強力です。地上スレスレを飛行するためレーダーに探知されにくく、250キロ以内にある重要目標を攻撃することができます。6月下旬には、へルソン州とクリミア半島を結ぶチョンハル橋を攻撃することに成功したと伝えられましたが、ウクライナ軍がザポリージャ州で大きく前進できれば、いよいよクリミア大橋も射程に入ってきます」(黒井氏)

 パトリオットで空の守りを固めながら、ドローン攻撃で地上の戦力を削ぎ、ハイマースのロケット弾で補給路を断つ。三大兵器が与えた影響は計り知れない。

(つづく)

*画像はウクライナ国防相SNSより

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