石田純一「壱成君の才能は母親似ですね」/テリー伊藤対談(4)

テリー 壱成さんの演技って、石田さんからはどう見えるんですか。

石田 僕は前から「お前はロバート・デュヴァルみたいになるよ」ってずっと言ってるんですよ。「ゴッド・ファーザー」の顧問弁護士役が有名ですけど、他にも刑事とかマフィアとか、何をやっても全部はまるような役者ですけど。

テリー 「地獄の黙示録」にも出てますよね。

石田 はい。壱成君にもそういう役者になってほしくて、ずっと言ってたんですけど、ようやく彼も今、そういう立ち位置がはっきり見えてきたらしいですね。

テリー 僕は演技のことは全然わからないですけど、何というか独特というか、天才的な風変わりですよね。

石田 完全にお母さん似ですね。僕は努力型なんで。前に「蝦夷地別件」っていう彼の舞台を見に行ったんですよ。最後30分ぐらい蛇になるんですけど、それがほんとに蛇が憑依したのかと思うぐらい、見たらゾッとしちゃって、「これ大丈夫か、ヤバいんじゃないか」って思うぐらいでしたね。

テリー 今回の映画にはマンガ家のビッグ錠さん、フォークシンガーの友川カズキさんなども出演されてますけど、皆さん、それぞれいい味出してますね。

石田 そうですね。「これ、役者さんなのか」っていう微妙な方のほうが多いかもしれないですね。「居酒屋で隣り合わせた、おもしろい人を連れてきちゃったのか」みたいなね。もちろん、佐伯日菜子さんとか、きちんとした役者さんも出られてるんですけど。個人的にはそういうところもおもしろかったですね。

テリー もう石田さんも完成した映画をご覧になったんでしょう? 率直な感想としては?

石田 ただ、僕はまだ一般視聴者としては見れてないんですよ。要するに出来不出来とか、「もっとこうやれば良かった」とか「このシーンはいいな」とか、そういう目で見ちゃってますから。正直言うと、何かすごい展開があるというお話ではないし。

テリー すごく淡々と進んでいきますよね。

石田 ハリウッドみたいな大作とは全然違って、こういう映画はこういう映画の役割がちゃんとあるとは思うんですけどね。だから、映画ファンとしては、これから劇場へ行って見たいと思ってますね。

テリー 石田さんは映画監督をやろうとは思わないんですか。

石田 いやぁ、なかなか実現しないんですけど、前から動いてる話はあるんですよ。もう脚本だけで何年もかかっちゃってるんですけど。

テリー へぇ、どんな映画?

石田 エンターテインメントですね。銃で撃ち合うシーンもあるようなアクション映画を韓国の釜山で撮りたいと思ってるんですけど。やっぱり日本で撃ち合いってリアリティがないじゃないですか。釜山ってものすごくダイナミックな街なんですよ。

テリー それ、予算いくらぐらいかかるんですか。

石田 3、4億円あるといいですけど、現実的には2億ぐらいかな。

テリー ネットフリックスとかに企画持って行けばいいじゃないですか。

石田 でも、あそこは先に映画を作らないとダメらしいんですよ。「こういう企画があるからお金出してください」じゃなくて、作ったものを持って「これを買ってください」っていう。もしかしたら違うやり方もあるかもしれないけど。

テリー じゃあ、もっと焼肉で成功して、お金貯めないとね。

石田 そうですね。やっぱり芸能界という場所でガーンとやられたので、そっちで取り返さないと名誉回復にはならないですからね。焼肉屋さんで頑張りつつ、役者の仕事も増やしていきたいですね。

〈テリーからひと言〉

 石田さん偉いなぁ。名前貸しじゃなくて、全部自分でやってるところがすごいよ。今度船橋まで絶対食べにいきますよ!

石田純一(いしだ・じゅんいち)1954年、東京都生まれ。1979年、NHKドラマ「あめりか物語」で俳優デビュー。その後、1988年の「抱きしめたい!」(フジテレビ系)に出演し、トレンディドラマを代表する俳優となる。また1997年からは「スーパーJチャンネル」(テレビ朝日系)のメインキャスターを務めるなど、幅広く活動。出演映画「散歩屋ケンちゃん」が、7月7日より池袋シネマ・ロサをはじめ、全国順次公開予定。

*週刊アサヒ芸能7月6日号掲載

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