総距離世界一「中国版新幹線」がガラガラでローカル線化、1日1往復・運行停止も…

 現時点で総距離4万2000キロを超える中国版新幹線の高速鉄道網。今やその規模は世界一だが、無計画に広げ過ぎた影響なのか赤字路線が続出。乗車率の高い北京—上海などの人気路線がある一方、本数削減や運行停止になった路線があることはあまり知られていない。

 例えば、昨年2月に開催された北京冬季五輪に合わせて開業した北京と張家口(河北省)の約170キロを結ぶ「京張都市間鉄道」もそのひとつ。大会期間中は1日17往復していたが、数カ月後には1日わずか1往復とまさかのローカル線化。しかも、車内はそれでもガラガラという有様だ。

「もともと冬季五輪の各会場を結ぶための路線で、駅周辺には住宅地や市街地がほとんどありません。沿線の太子城駅前の巨大ショッピングモールも閉鎖されたままで再開の目途も立っていません。この路線は580億元(約1兆1300億円)を投じて建設されたこともあり、中国国内でも『金のムダ遣いだ!』と批判が高まっています」(鉄道ジャーナリスト)

 だが、一応運行しているだけまだマシだろう。なかには運行停止となった路線もあるからだ。

 15年1月に開業した北京と郊外の燕郊(河北省)を結ぶ通勤高速鉄道は、なんと同月末で運行停止。わずか20日間で高速鉄道が廃止になった前代未聞のケースとして鉄道関係者の間では有名だ。

「この駅も高速鉄道駅は街外れにあり、利用客が全然いなかったのが原因です。北京から35キロしか離れておらず、駅までのアクセスを考えると在来線と通勤時間は変わりません。日本では考えられないような見通しの甘さですが、国が高速鉄道網の整備を後押ししているので簡単に許可が下りてしまう。そのため、主要路線以外は不採算の赤字路線だらけだと言われています」(同)

 中国政府は35年までに高速鉄道の総距離を7万キロにするとの目標を掲げている。その結果、高速鉄道の廃線ラッシュという事態を招かなければいいが…。

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