メジャーリーグは「安住の地」ではなかった? アスレチックス・藤浪晋太郎がメジャー初勝利を納めたのは現地時間5月12日に行なわれたレンジャーズ戦だった。日本のプロ野球関係者からも祝福の声が多く寄せられたが、「制球難のピッチャー」という厳しい評価を変えるまでには至っていない。
「前回登板のヤンキース戦(10日)で3番手として登板し、2回3分の1を投げ、無安打無失点でした。数字だけを見れば好投ですが、制球に不安の残る内容でした」(現地記者)
6回裏、藤浪は相手バッターの頭部をかすめる”危険投球”をしてしまったのだ。ヤンキースタジアムのファンはどよめき、頭部直撃の危険にさらされたヤンキースのラメーヒューは睨みつけたが、藤浪は足元を均すなどし、下を向いたままだったので乱闘にはならなかった。
「ヤンキース戦、初勝利を挙げたレンジャーズ戦ともに相手チームにリードされている状態で、『リリーフ・藤浪』がコールされています。初勝利は味方打線が逆転してくれたおかげであって、藤浪の勝利における貢献度は高くありません」(前出・現地記者)
アスレチックスの地元ファンも藤浪の初勝利で盛り上がっていないのはそのせいだろう。初勝利を機に調子を上げ、先発ローテーションに復帰したいが、マイナスの情報も囁かれていた。
「放出リストに藤浪の名前があるともっぱらです」(米国人ライター)
どうやら”ウエーバー公示”される可能性があるそうだ。「藤浪の支配権を放棄する、欲しい球団があればどうぞ」ということだが、ウエーバー公示には何種類かがあり、リストは原則非公開で現在はゼネラルマネージャーなど球団幹部だけが見られるマル秘式になった。そのため、「藤浪放出説」は確認できないが、今回の初勝利でアスレチックス内での評価を「上方修正できたかどうか」が重要になってくるわけだ。
「アスレチックスは5月16日時点で9勝34敗、ア・リーグ西地区のダントツ最下位です。チーム防御率も7.21。勝率、チーム防御率は米30球団ワーストです」(前出・米国人ライター)
藤浪の防御率は12.17。しかし、チーム低迷は藤浪のせいだけではない。早く2勝目を挙げてもらいたいが…。
(飯山満/スポーツライター)