藤浪晋太郎「メッツ入り」のブルペン裏事情「新編成本部長の最優先は藤浪じゃなかった」

「藤浪晋太郎メッツ入り」の一報が飛び込んできた。しかし、その契約内容は「年俸335万ドル(約5億円)1年」というもの。この内容では新たな試練が始まったようなものだ。

「昨季、ナ・リーグ東地区4位に低迷したメッツですが、ブルペンは実質、ディアスとレイリーの2人でまわしていたようなもの。その現状を考えると、藤浪は戦力として期待されているんだと思います」(米国人ライター)

 だが、その「期待」というのが目に見えてこないのだ。年俸335万ドルというのは、昨季の325万ドルと比べると、期待分が10万ドル程度となる。また、昨秋、メッツの編成トップに着任したデービッド・スターンズ氏については、こんな指摘も聞かれた。

「スターンズ氏はブルワーズのゼネラルマネージャーを長く務めていました。15年に着任し、途中から編成部の部長も兼務してきましたが、その手腕はブルワーズの成績を見ればわかるでしょう。ワイルドカードで2回、プレーオフに進出しただけです」(前出・ライター)

 スターンズ氏はメッツ編成本部長に就任した際、手薄なブルペン陣の建て直し法を質問されると「エリートブルペンを構築する方法を知っている」と返した。しかし、今オフの補強はおとなしかった。

「昨季、優勝圏外となったシーズン中盤の時点で、チームは高額年俸の主力投手たちをトレード放出しました。24年オフにFAになる主砲のピート・アロンソもいなくなるのではないかと、ファンは心配していましたね。スターンズ氏の最優先課題はアロンソの慰留であり、その結果、ブルペン陣の強化に着手するのが遅れてしまったんです」(現地記者)

 昨年8月、藤浪はメッツ戦で日本人投手最速の102.6マイル(約165キロ強)を計測した。そのインパクトの強さが獲得につながったとの見方もされている。仮に藤浪が人材難のメッツブルペンで活躍すれば、スターンズ氏は「低コストでブルペンを再建した」と評価されるだろう。だが、ニューヨークのファンは手厳しい。四球連発なら、大ブーイングは避けられない。スターンズ氏はイップス説もある藤浪の繊細さを知っているのだろうか。

(飯山満/スポーツライター)

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