「自ら火に焼けて死ぬ」中国が韓国を恫喝!オーストラリアに学ぶべき「強気対応」とは

 またもや中国による経済報復が始まるのか…。今月26日に米韓首脳会談を控えた韓国・尹錫悦大統領の発言を巡り、両国の間で“口撃”が激化している。

 コトの起こりは、19日に公開されたロイター通信による尹大統領のインタビュー。尹氏は台湾問題に触れ、「力により現状を変更しようという試みのために起こったこと。我々は国際社会と共に絶対に反対するという見解だ」と、米国はじめ西側諸国が台湾問題で中国を批判する際に使う「力による現状変更」という表現を用いたことで、中国が激怒。

 さっそく翌20日には、中国外務省の汪文斌副報道局長が「台湾問題は純粋に中国の内政であり、中国の利益の中の核心。他人のことに口出しするのは許されない」と猛抗議。これを受け韓国外交部が「中国外務省報道官の無礼な発言は容認できない」と応じると、翌21日には中国の秦外相が「台湾問題で火遊びをする者は必ず自ら火に焼けて死ぬ。中国の主権と安保に触れようとする者が誰であっても我々は決して退かない」と名指しこそしなかったものの、尹大統領の発言を痛烈に批判したのだ。

「尹大統領の発言の直後、韓国外交部は『一つの中国という原則を尊重するということに変わりはない』という見解を表明し、火消しをしました。ところが、中国側が『はいそうですか』と納得するはずもなく、すぐさま汪副報道局長が口撃の狼煙を上げたわけですが、むろん、その背景には26日に米ホワイトハウスで開催される、米韓首脳会談で議論されるであろう台湾問題を牽制する狙いがあることは間違いない。ただ、口撃のエスカレートいかんでは、また経済報復に発展する可能性は否めませんね」(全国紙記者)

 世界第2位の経済大国である中国はこれまで、自国に対し批判的な立場をとるなど意に沿わない国に対しては、「経済報復」という手段をとってきた。今回の尹大統領発言をきっかけに、一部製品の輸出入禁止といった“見せしめ的お仕置き”に出る可能性も十分考えられる。

「かつて、オーストラリアのモリソン首相が『武漢で発生したコロナの起源と感染メカニズムに対する国際社会からの調査に応じよ』と要求したことで、中国が激怒。中国はオーストラリア産品に高い関税をかけたり、中国企業に豪州産資源の使用停止を求めるなど、報復をかけてきました。しかし、オーストラリアはこれに屈せず、石炭を韓国や日本、インド向け輸出に切り替え、小麦はサウジアラビアや東南アジア、銅は欧州や日本に振り向けるなどして、この報復を回避。逆に米国によるファーウェイ制裁に歩調を合わせ、米国寄りの立場を明確に打ち出しました。実は、当時のオーストラリアは中国への貿易依存度が40%近かったとされますから、かなり危険な綱渡りだったはず。それをスピーディーな政治判断で乗り越えたわけです。韓国もハイテク部品を中心に輸出量が急増しており、中国の経済報復を受ければ経済的に大打撃を受けるでしょうが、そこは『オーストラリアの教訓』を生かすべき。それが、韓国経済の安全保障にもなると思います」(同)

 中国が、これまで通商上で恫喝を行ってきた貿易相手国は、オーストラリアをはじめ、カナダ、モンゴル、ノルウェーなど8カ国。むろん、日本も含まれている。韓国だけでなく、わが日本も、オーストラリアの教訓に学ぶべき点は多い。

(灯倫太郎)

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