大阪「IR認定」で始まる税金投入!「790億円どころか数千億円になる」

 4月14日、政府のIR推進本部は、大阪府と市の、カジノを含む統合型リゾート(IR)の整備計画を認定した。最終的には国交相の認可決定を待つが、岸田文雄首相もこれをもって認可されたものとした。

 これまで誘致を進めてきた松井一郎・前大阪市長や吉村洋文・大阪府知事らにしてみれば待望の決定ということになるのだろうが、今後は越えなければならない大きな壁がいくつも立ち塞がる。

「なによりいちばんの問題は、よく指摘されるように、建設予定地の大阪湾岸の人工島・夢洲の土壌問題です。もともとゴミ処理場だったこの島は、工業廃水が流れ込んだ河川の土砂で埋め立てられたもの。そこで土壌汚染対策と液状化対策で既に790億円の支出を大阪市が行うことが決定しています」(大阪市政担当記者)

 かつて松井氏と吉村氏は、「IRは民間事業者の支出で作られるので、税金を投入することはない」と説明していた。ところが、昨年2月に府・市と民間事業者との間で結ばれた基本計画書では、土壌対策は大阪市が行うこととされていたのだ。

「松井氏は、『土地の所有者として民間事業者に来ていただくための土地を整備するのだから税金で負担する』というような説明をしましたが、住民が納得できたとはとても思えません」(前出・記者)

 さらに問題なのは、歩こうにも膝下まで地中に沈んでしまうというユルユルな土地の「地盤沈下対策」だ。

「この対策に追加出資が必要になるのはほぼ明らかで、それがいくらになるか見当がつかないほどなのです。一説にはトータルで数千億円レベルになるのでは、とも言われています」(全国紙記者)

 それだけではない。こうした問題に伴って新たな弊害も起きてきそうなのだ。

「当初は2025年に万博があって、その翌年に開業という予定でしたが、今では、29年とズレ込んでしまいました。大阪市ではIR開業に合わせて大阪メトロ中央線などの鉄道路線を複数延伸させ、新駅も開業ラッシュの予定でした。開業予定のズレ込みによって他の事業にも大きな影響が出るのは必至です」(前出・記者)

 問題はまだある。事業計画書の「捕らぬ狸の皮算用」ぶりも懸念されている。計画書では世界で最も成功したIRとされる、あの天空プールでも有名なシンガポールの「マリーナベイ・サンズ」を見本に立てられたものだが、計画では年間来場者がマリーナベイ・サンズの2分の1以下であるにもかかわらず、売り上げは約1.7倍を見積もっている。しかも年間200万人という来場者の見込みは、USJの過去最高の146万人をはるかに上回る。

 問題が山積のIR事業。ゴリ押しした果てに待ち受けるのは、夢のリゾートなのかそれとも…。

(猫間滋)

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